研究課題
本研究は表在性食道扁平上皮癌SESCCにおけるリンパ節転移LNMと再発のリスクの適切な評価に寄与するアルゴリズムの作成を目的とした。88例のSESCC外科切除例においてsubmucosal invasion distance (SMID)等の臨床病理学的因子を検討した。浸潤先端部の組織像としてtumor buddingにおける腫瘍胞巣構成細胞数と胞巣の個数の修正によりmodified tumor budding(MBD)を評価した。SMIDは600 μmがLNMに関して統計学的に最も優れた値であった。臨床病理学的因子を用いてLNMのリスクを予測するアルゴリズムを作成したところ、SMID: 600 μmとMBDのうち5個以下の腫瘍細胞で構成される胞巣数5個以上を組み合わせたアルゴリズムが最も優れており、無再発生存期間とも有意に関連していた。同アルゴリズムを今後さらに検討することで、SESCCに対する内視鏡的切除後の適切な追加治療や適切な初回治療の選択が可能となり、患者QOLの向上が期待される。されに、EMT関連分子としてE-cadherinおよびβ-cateninの免疫染色と、定量PCR法によるE-cadherin、Snail1のmRNAの発現解析を行った。浸潤先端部でのE-cadherinの発現は27例で減弱し、tumor budding高度の症例では有意な減弱が見られた。Buddingが上皮間葉転換EMTの組織学的表現形である可能性が示唆された。β-cateninの核内移行が22例、細胞質内における強陽性像が29例にて見られ、後者はBuddingおよびE-cadherinの発現減弱と相関していた。E-cadherinのmRNA発現とリンパ節転移や浸潤先端部の組織像との間に相関は見出せなかった。Snail1の発現はBudding高度の症例において高かった。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (3件)
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