研究成果の概要 |
肝門部胆管癌と遠位胆管癌の胃腸分化方向と癌間質との関連性を明らかにするため,癌関連線維芽細胞(CAFs), 腫瘍浸潤リンパ球(TILs), 腫瘍関連マクロファージ(TAMs), 胃腸分化マーカーの発現を検討した.胆管癌手術施行例の集積,HE標本全ての見直しを行い,主座,組織型,深達度,脈管侵襲,上皮内癌の有無,簇出,マーカー発現など病理学的所見を評価した.結果は,神経浸潤の程度(遠位>肝門部),脈管侵襲の程度(遠位>肝門部),MUC5ACの発現,TILとTAMの発現状況が部位により異なる可能性が示された.上皮の胃腸分化方向とCAFs,TILs,TAMsの関連性は見出せなかった.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
胆管癌はアジアに罹患者が多く,我が国においても癌による臓器別死亡原因では第6位で,5年生存率は20%前後と膵癌に次いで悪性度が高い.本研究では肝門部胆管癌と遠位胆管癌の胃腸分化方向と癌間質との関連性を明らかにするため病理所見,癌関連線維芽細胞(CAFs), 腫瘍浸潤リンパ球(TILs), 腫瘍関連マクロファージ(TAMs), 胃腸分化マーカーの発現を検討したところ,神経浸潤の程度,脈管侵襲の程度(遠位>肝門部),MUC5ACの発現,TILsとTAMsの発現状況が部位により異なる可能性が示された.胆管癌の腫瘍発生・進展のメカニズムを解明することは,胆管癌の治療につながる重要な課題である.
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