研究課題/領域番号 |
21K06929
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
柴原 純二 杏林大学, 医学部, 教授 (60334380)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 神経膠腫 / 融合遺伝子 / FGFR3 / 多形性 |
研究実績の概要 |
1. FGFR3::TACC3融合遺伝子陽性高悪性度神経膠腫(F3T3-HGG)についての検討 F3T3-HGGの位置付け、診断法を確立することを主目的とした研究である。本年度は診断法を確立すべく、自施設の症例のスクリーニングを行い、ホルマリン固定パラフィン包埋検体(FFPE検体)を用いた診断手法につき検討を行った。自施設で診断・治療された退形成性星細胞腫・膠芽腫約250例を対象に、F3T3-HGGの既知の形態学的特徴およびFGFR3に対する免疫組織化学的染色結果を指標として、F3T3-HGGの候補症例10例を得た。凍結検体が利用可能であった5例中2例に、RT-PCR法によりFGFR3::TACC3融合遺伝子が確認された。IDH野生型退形成性星細胞腫1例、IDH野生型膠芽腫1例で、いずれもFGFR3強陽性であり、組織学的には特徴的な変性所見を伴っていた。同2例を用いてFFPEでの診断法を検討した。遺伝子切断点が多様なtandem duplicationにて融合遺伝子が形成されるため、FISH法やRT-PCR法では検出・スクリーニングが困難なことを念頭に、遺伝子コピー数増加の検出を試み、デジタルPCR法での検出法を確立しつつある。 2. 多形型膠芽腫についての検討 巨細胞、上皮様細胞、肉腫用紡錘形細胞成分を種々の程度に含む膠芽腫を、多形型膠腫と包括的に定義し、臨床病理学的・分子遺伝学的観点から、その位置付けを明らかにする研究である。今後の分子遺伝学的解析の対象例を抽出すべく、膠芽腫・膠肉腫の連続症例を再検討し、膠肉腫1例、巨細胞膠芽腫1例を含む18例の候補症例を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね当初の研究計画通りに進めている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度はFGFR3::TACC3融合遺伝子陽性高悪性度神経膠腫についてDNAメチル化解析、網羅的遺伝子発現解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定の分子遺伝学的検討の一部を次年度に行うこととしたため。本年度に使用予定である。
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