研究課題/領域番号 |
21K06936
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研究機関 | 公益財団法人がん研究会 |
研究代表者 |
坂本 佳奈 公益財団法人がん研究会, がん研究所 分子標的病理プロジェクト, 研究員 (50778008)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍 |
研究実績の概要 |
芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(blastic plasmacytoid dendritic cell neoplasm, BPDCN)は、未分化な形質細胞様樹状細胞由来とされる稀少な造血器腫瘍である。皮膚病変で発症することが多く、当初は化学療法に反応するものの再発例が多く、生存期間が~2年程度の予後不良な腫瘍性疾患である。研究代表者らは国内多施設との協力体制を独自に構築してBPDCN症例を集積し、BPDCNが、MYCの遺伝子再構成と発現異常の有無によりMYC陽性BPDCNとMYC陰性BPDCNに層別化されることを突き止めた。しかし、稀少性と疾患概念の確立の遅れ等から、BPDCNの病態については未だ明らかでない部分も多い。本研究の目的は、これまでに取り組んできたBPDCNの診断基準の洗練化を基盤として、確実に診断・層別化されたBPDCNの大規模臨床検体群を用いて、病態の解明を進めることにある。今年度は、全国多施設から集積した検体を次世代シークエンサーを用いて詳細に解析を進めた。また、不均一性を示す症例については、詳細な組織病理学的解析を進めた。さらに病理学的特徴を明らかにしていくため、新たな染色方法の検討を行った。稀少疾患であるため検体の確保が大きな課題となるが、新たな症例の集積のため、独自のホームページも活用するなどして、協力施設の拡充にも努めた。また、病態解明と治療法開発の基礎となることを目指し、細胞株を用いた薬剤評価系の構築も進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対象としているのは稀少疾患であるが、多施設との協力体制の構築により、検体や情報の収集を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
検体、情報の収集を進め、病理学的解析と分子生物学的手法による解析を併せて進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新たな病理学的解析を計画し、今年度は系の条件検討を慎重に行った。最適な条件を明らかにしたうえで、次年度使用額と翌年度分助成金と併せて試薬の購入等に用い、多数検体の検討を行う。
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