研究課題
細気管支化生peribronchiolar metaplasia(PBM)と肺腺癌の関連についての研究:PBMは、肺損傷に対する非特異的反応であり、細気管支上皮がランバート管を通って隣接する肺胞実質に伸展する現象(Lambertosis)と考えられている。原発性肺癌90例と転移性肺癌17例の手術材料を組織学的に検討し、種々の病変との関連を検索した。原発性肺癌の26例(29%)にPBMが、腺癌で21例(29%)、扁平上皮癌で2例(13%)、大細胞神経内分泌癌で4例(57%)ほど認められた。PBMは、原発性肺癌(29%)と転移性肺癌(6%)の出現で関連性に有意な差が見られ、また肺腺癌に関連していることを示した。異型腺腫様過形成(AAH)、肺線維症、腫瘍および喫煙者細気管支炎は、それぞれ15例(17%)、12例(13%)、10例(11%)、および8例(9%)の症例で認められた。PBMの出現との有意な関連性はなかった。microRNAの解析についての研究:肺癌の手術材料10例(浸潤性肺腺癌、minimally invasive adenocarcinoma (MIA)、adenocarcinoma in situ (AIS)、AAH、PBM)について、腫瘍の部分と非腫瘍の部分から凍結材料を採取し比較検討した。解析に用いたキット・試薬類は、 miRNeasy Mini Kit、RNase-Free DNase Set、NanoDropTM One、Agilent 2100 Bioanalyzer、Agilent RNA 6000 Nano Kitである。抽出した Total RNA濃度は478.6~4109.9μg/mLであった。腫瘍部と非腫瘍部の比較で2Up=Ratioと2Down=RatioのProbeが多数認めた。これらmicroRNAについての詳細な解析はまだ行っていない。
3: やや遅れている
Peribronchiolar metaplasia(PBM)と肺腺癌の関連について、摘出手術材料の検討から深い関連が示唆される結果を得たが、直接の関連性についての検討は難しい。手術材料からの凍結材料を用いて、microRNAを解析することに依って手がかりを得ようと考えている。抽出した RNA、特にmicroRNAでの腫瘍部と非腫瘍部の比較を行い、2Up=Ratioと2Down=RatioのProbeが多数認められたのだが、これらmicroRNA、microRNA、pre-microRNAの由来となる関連のmRNA、隣接したmicroRNAの詳細な解析は簡単ではなく、時間と苦労が伴うことが予想される。また、浸潤性肺腺癌、上皮内腺癌(AIS)、 微少浸潤性腺癌(MIA)、異型腺腫様過形成(AAH)での相違も検討したいと考えている。
手術材料からの凍結材料を用いて、抽出した RNA、特にmicroRNAでの腫瘍部と非腫瘍部の比較を行い、microRNA、microRNA、pre-microRNAの由来となる関連のmRNA、隣接したmicroRNAの詳細な解析を行いたいと考えている。また、2Up=Ratioと2Down=RatioのmicroRNAについて、浸潤性肺腺癌、上皮内腺癌(AIS)、微少浸潤性腺癌(MIA)、異型腺腫様過形成(AAH)、Peribronchiolar metaplasia(PBM)のグループでの種類と程度の相違についても検討したいと考えている。
昨年度の実施研究の本幹をなす凍結材料からのRNA抽出、microRNAの同定、腫瘍部と非腫瘍部の比較検討といった研究への費用がどの程度かかるか読めなかったことから、研究機材購入や人件費の抑制を行ったこと、加えてコロナの蔓延でon siteの学会が少なく、webでの学会が中心で、旅費等がかからなかったこと、などから次年度の研究費としての使用額が生じました。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
Respir Med Case Rep.
巻: 13 ページ: 33
10.1016/j.rmcr.2021.101418.
Respirol Case Rep.
巻: 9(3) ページ: e00714
10.1002/rcr2.714.
Redox Biol.
巻: 41 ページ: 101926
10.1016/j.redox.2021.101926.
巻: 44 ページ: 102028
10.1016/j.redox.2021.102028.