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2022 年度 実施状況報告書

CRISPR libraryを用いた網羅的細胞間相互作用解析モデルの開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K06945
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

倉田 盛人  東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (40451926)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード薬剤耐性 / CRISPR screening / 細胞間相互作用
研究実績の概要

腫瘍微小環境において、がん幹細胞と間質支持細胞の相互作用により薬剤耐性が誘導されることが知られている。我々は新たな実験系である「間接的CRISPR screening」を確立した。
昨年までに、間接的CRISPR screeningにて得られた各候補遺伝子の変異支持細胞を作成し、それらと共培養した白血病細胞株や膵癌細胞株において抗癌剤曝露下で有意に生存・増殖することが確認された。
C9orf89、MAGI2、MLPH、RHBDD2の4種 のHEK293T 欠損細胞クローンに関して、RNA-sequencingを行った。GSEA解析では、いずれの欠損細胞においてもサイトカイン活性が最も活性化されており、その中でも特にCXCL12の発現が共通して最も上昇していた。定量的PCRおよびELISAの結果よりRHBDD2欠損でのCXCL12発現・分泌上昇が確認された。また、CXCL12中和抗体を用いた共培養・Ara-C曝露実験を行ったところ、HEK293T/UE7T-9 RHBDD2欠損細胞株によるAra-C曝露下でのU937のアポトーシスの抑制が、中和抗体によりキャンセルされた。
間質細胞の分泌するCXCL12による腫瘍細胞の薬剤耐性獲得機構として、PI3K-Akt-mTOR経路の活性化が知られている。HEK293T/UE7T-9 RHBDD2欠損細胞とU937を共培養し、Aktのリン酸化を評価した。U937におけるAktのリン酸化は、コントロール共培養群あるいはU937単独培養群と比較して、HEK293T RHBDD2欠損細胞と共培養した際に有意に亢進していた。
また、膵癌臨床検体の検討では、間質細胞でのRHBDD2低発現が独立予後不良因子であり、またRHBDD2とCXCX12発現に逆相関することが確認された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ノックアウトされた支持細胞においてどのようなシグナルが働いているかなどRNAシークエンスなどを用いて機序の解明を行い、生物学的な確認実験が完了した。
また、予定通りに臨床検体を用いた確認研究も行えた。

今後の研究の推進方策

本CRISPRスクリーニングでは発現の低下による薬剤耐性が誘導される分子が同定される。しかしながら、治療ということを視野に入れた場合には、候補遺伝子の過剰発現が薬剤感受性に寄与することが期待される。耐性メカニズムの解明と共に、対象候補分子のアゴニストとして働く既存の化合物を同定する。また、その発現を上流で発現を負に制御する分子が同定される候補遺伝子では、その阻害剤が治療候補の分子となりうることを検証する。

次年度使用額が生じた理由

対象候補分子のアゴニストとして働く既存の化合物の同定に、多少の遅延とさらなる経費が必要と見積もられる為。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2022 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)

  • [国際共同研究] David Largaespada/Minnesota University/Masonic Cancer Center(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      David Largaespada/Minnesota University/Masonic Cancer Center
  • [国際共同研究] Branden Moriarity/Minnesota University/Masonic Cancer Center(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      Branden Moriarity/Minnesota University/Masonic Cancer Center
  • [雑誌論文] Proliferation and Self-Renewal Are Differentially Sensitive to <i>NRASG12V</i> Oncogene Levels in an Acute Myeloid Leukemia Cell Line2022

    • 著者名/発表者名
      Kurata Morito、Antony Marie Lue、Noble-Orcutt Klara E.、Rathe Susan K.、Lee Yoonkyu、Furuno Hidehiro、Ishibashi Sachiko、Ikeda Masumi、Yamamoto Kouhei、Kitagawa Masanobu、Largaespada David A.、Sachs Zohar
    • 雑誌名

      Molecular Cancer Research

      巻: 20 ページ: 1646~1658

    • DOI

      10.1158/1541-7786.MCR-22-0109

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Identification of NRAS Downstream Genes with CRISPR Activation Screening2022

    • 著者名/発表者名
      Tatsumi Akiya、Hirakochi Haruka、Inoue Satomi、Tanaka Yosuke、Furuno Hidehiro、Ikeda Masumi、Ishibashi Sachiko、Taguchi Towako、Yamamoto Kouhei、Onishi Iichiroh、Sachs Zohar、Largaespada David A.、Kitagawa Masanobu、Kurata Morito
    • 雑誌名

      Biology

      巻: 11 ページ: 1551~1551

    • DOI

      10.3390/biology11111551

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] CRISPR screeningを用いた細胞間相互作用により誘導される薬剤耐性関連分子の同定2022

    • 著者名/発表者名
      杉田 佳祐, 倉田 盛人, 中山 蘭, 大西 威一郎, 山本 浩平, 北川 昌伸
    • 学会等名
      第81回日本癌学会学術総会 2022

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公開日: 2023-12-25  

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