研究課題
転写因子RFX6は、膵臓低形成と腸閉鎖/奇形を伴う常染色体劣性新生児糖尿病であるMitchell-Riley症候群(MRS)の原因遺伝子であることが知られている。形態学的欠損は後前腸および中後腸の内胚葉系に限定され、前前腸系では生じないが、その機序は未だ完全には解明されていない。本研究では、初期内胚葉発生におけるRFX6の役割を明らかにするために、RFX6+/eGFPヘテロ接合体ノックインおよびRFX6eGFP/eGFPホモ接合体ノックイン/ノックアウトヒト人工多能性幹細胞(hiPSC)株を作製し、in vitroで内胚葉分化を行った。RFX6の発現は、原始腸管(PGT)の段階で、未分化内胚葉や確定内胚葉の段階に比べて急増することがわかった。PGT期では、RFX6の欠損により、後前腸と中後腸のマスターレギュレーターであるPDX1とCDX2の発現がそれぞれ低下した。PDX1+細胞とCDX2+細胞は、RFX6+/eGFP hiPSCではほとんどが緑色蛍光タンパク質(GFP)+であったが、RFX6eGFP/eGFP hiPSCでは細胞数が著しく減少した。前腸マーカーであるSOX2の発現は、RFX6の欠損によって影響を受けなかった。さらに、遺伝子発現seqのcap解析を用いて、推定されるRFX6結合X-boxモチーフを発見し、PDX1とCDX2のエンハンサー領域のモチーフ含有配列がin vitroでRFX6と結合した。このように、RFX6は初期内胚葉分化においてParaHox遺伝子PDX1とCDX2を制御するが、SOX2には影響を与えないことから、初期内胚葉パターニングの欠陥がMRSの形態学的病態の原因であることが示唆された。
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https://www.med.kyoto-u.ac.jp/research/field/doctoral_course/r-036