研究課題/領域番号 |
21K06971
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
植田 郁子 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任講師(常勤) (80452100)
|
研究分担者 |
玉井 克人 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教授 (20236730)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 強皮症モデルマウス / ブレオマイシン / single cell RNA sequence |
研究実績の概要 |
ブレオマイシン(BLM)誘発強皮症モデルマウスの皮膚における変化につき、投与回数、投与期間などの条件を変更し評価を行った。1回100μgのBLMを週3回2週間、4週間、8週間投与し確認したが、週3回2週間でも皮膚硬化の変化がえられることを病理組織および、ヒドロキシプロリンアッセイで確認した。 また、BLM誘発性強皮症モデルマウスにおいて、皮膚以外に、肺にも病変が誘発されることが確認できたため、肺病変をsingle cell RNA sequenceで検討している。BLM誘発性強皮症モデルマウスの肺組織を回収しPDGFRα陽性細胞のサブクラスター解析を行った。Npnt+細胞とPi16+細胞が主要な細胞集団であった。PBS投与群と、BLM投与群で、Npnt+細胞のDEG解析で有意に上昇したものが668、低下したものが580確認された。これらの遺伝子からGene ontologyを検討したところ、extracellular matrix organization、extracellular structure organization、collagen metabolic process、collagen fibril organizationなど線維化の機序に関わる遺伝子群の発現が亢進していることが確認できた。 またこれらのマウスを用いてHMGB1ペプチドの投与による治療効果について評価を行った。 これまでにBLM投与による強皮症誘発期間や、HMGB1ペプチドの静注による投与回数を変えて様々な条件で行ってみたが、これまでに明らかな効果は得られていない。そこで静注投与ではなく、皮下投与により効果が得られないかどうかを確認している。 皮膚の病理組織による測定以外に、ヒドロキシプロリンアッセイやqPCRでの評価もあわせて行なっているが、治療群と非治療群間で有意差は認められていない。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
BLM誘発強皮症モデルマウスによるHMGB1ペプチドの治療効果を確認するため、様々なBLM投与期間と治療期間を試したが、これまでのところ明らかな効果がみられていないため。
|
今後の研究の推進方策 |
BLM誘発性強皮症モデルマウスにおいて皮膚病変および肺病変が誘発されることを確認した。 BLM誘発強皮症モデルマウスによるHMGB1ペプチドの治療もしくは予防効果については、これまでは静脈注射によりHMGB1ペプチドを投与していたが、直接皮下に接種するなど投与方法を変更すること、さらにBLM投与回数および投与期間をさらに短縮して検討する。 BLM誘発性強皮症モデルマウスの肺病変における変化をsingle cell RNA sequenceでの検討を引き続き行い、解析を進める。BLM誘発強皮症モデルマウスにおける肺病変の病態解明を目指し、DEG解析から得られたGene ontologyの結果からどのような機序で肺病変を誘導しているのかを詳細に検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
BLM誘発強皮症モデルマウスによるHMGB1ペプチドの治療効果および予防効果を確認する実験を行ったが、治療効果・予防効果ともにこれまでのところ確認できていない。そのため実験を予定していたように進められていないこと、また実験内容を変更する必要が生じたことにより次年度使用額が生じた。HMGB1ペプチドの投与方法を皮下注射に修正を行いさらに実験をすすめることと、またsingle cell RNA sequenceによる解析をもとにBLM誘発強皮症モデルマウスにおいてどのような機序で肺病変を誘導しているのかをさらに詳細に検討し、報告することを予定している。
|