網羅的遺伝子発現解析に基づいた分子標的薬の開発にも関わらず、依然としてがんは日本人の死亡原因の第一位である。本課題では、ガン進行過程でのAQP3の役割を検討し、AQP3阻害の有効性について調べた。特に、多発性骨髄腫(MM)ではAQP3発現が高く、AQP3阻害がMM細胞自身のミトコンドリアの呼吸能を低下させることで細胞増殖を抑制する効果を明らかにした。この発見は、AQP3阻害が新たな治療標的としての潜在性を持つことを示しており、治療選択肢の拡大に寄与する可能性がある。研究成果は、学術的には新しい生物学的メカニズムの解明を、社会的には難治性のがんに対する新たな治療法の開発への道を開くと考えられる。
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