研究課題
申請者は、TGF-βシグナルを抑制するTMEPAI遺伝子を欠損させたTMEPAI KOマウスとWntシグナルが恒常的に活性化されたApcΔ716/+マウスを交配したTMEPAI KO/ApcΔ716/+マウスにおいて、ApcΔ716/+マウスに比較して腺腫形成が著しく抑制される結果を得ていた。そこで、TMEPAI遺伝子欠損による消化管腺腫抑制メカニズムを明らかにするために、ApcΔ716/+マウスの腺腫組織およびTMEPAI KO/ApcΔ716/+マウスの腺腫組織を用いてDNAマイクロアレイを行った結果に基づいて、検討した結果、実際にApcΔ716/+マウスの腺腫組織に比較してTMEPAI KO/ApcΔ716/+マウスの腺腫組織において発現量が増加した遺伝子、減少した遺伝子を得た。2021年度は、これらの遺伝子以外に、炎症との関係にも着目し、炎症に関連した遺伝子の発現変動についても検討した結果、ApcΔ716/+マウスの腺腫組織に比較してTMEPAI KO/ApcΔ716/+マウスの腺腫組織において発現量が減少する遺伝子が得られた。しかしながら、これらの遺伝子の発現変動は腺腫の悪性度に依存した結果を見ている可能性があるため、DNAマイクロアレイで使用した腺腫組織(16週齢)よりも早い週齢のマウス腺腫組織・腸粘膜(10週齢)を用いて、RNAseqを行い、ApcΔ716/+マウスの腺腫組織に比較してTMEPAIKO/ApcΔ716/+マウスにおいて発現に変動のある遺伝子について検討し、候補遺伝子が得られているため、今後検討していく。また、ApcΔ716/+マウスの腺腫数およびTMEPAI KO/ApcΔ716/+マウスの腺腫数についても引き続き検討している。
3: やや遅れている
各マウスの腸切片を作製し、候補遺伝子の発現を検討するために数種類の会社の抗体を購入し免疫組織化学染色などを行っているが、綺麗な染色像が得られていない。また、腸オルガノイドを用いた実験に関しては、ウイルス感染がうまくいかないため、現在、条件検討を行っている。これらの理由から、研究に遅れが生じている。
引き続き、候補遺伝子の発現について検討するために、免疫組織化学染色などの条件を検討する。また、腸オルガノイドを用いた実験に関しては、ウイルス感染の条件検討を行う。さらに、免疫系について検討するために、FACSを用いた検討を行う予定である。
コロナ禍で学会開催が控えられ、オンライン開催になったため、予定よりも旅費がかからなかった。その分、試薬の購入に充てたが、少し残る結果となった。オルガノイドに使用する試薬は全て高価であるため、次年度のオルガノイド培養用試薬に充てたいと考えている。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件)
Journal of biochemistry
巻: 171 ページ: 631-640
10.1093/jb/mvac021