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2022 年度 実施状況報告書

マラリア原虫におけるde novoヘテロクロマチン設立機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K06987
研究機関東京都立大学

研究代表者

森 稔幸  東京都立大学, 理学研究科, 客員研究員 (00462739)

研究分担者 岩永 史朗  大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (20314510)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード生殖分化 / エピジェネティクス / ヘテロクロマチン / ヒストン / サイレンサー / プロモーター / 遺伝子発現制御
研究実績の概要

本研究テーマは、熱帯熱マラリア原虫Plasmodium falciparumの培養株を用いて、エピジェネティックな発現制御を受ける生殖分化因子AP2-Gの遺伝子座におけるヘテロクロマチン構築機構の解明を目標としている。2022年度は、人工染色体を基盤としたレポーターアッセイによって明らかとなったAP2-G遺伝子プロモーター領域(AP2-G 5')のヘテロクロマチン化誘導機能について、より詳細な分子機構にせまる解析を行った。
CRISPR/Cas9を用いたゲノム編集によってAP2-G遺伝子座のヘテロクロマチン領域を全て除去した株(AP2-Gdel株)に、様々な長さのAP2-G 5'を蛍光マーカー遺伝子mNGの上流に連結したレポーターコンストラクトを導入した。これらの導入株それぞれについて、ヘテロクロマチンのマーカーであるH3K9me3(3重メチル化ヒストンH3)に対する抗体を用いたクロマチン免疫沈降(ChIP)アッセイを行い、AP2-G 5'のどの部分にヘテロクロマチン化誘導機能があるかを探索した結果、H3K9me3を誘導する最小領域(サイレンサー)配列を同定することに成功した。
さらにこのサイレンサー配列について、コンディショナルに配列を削除するデリーションアッセイを行ったところ、サイレンサーの5'、3’領域にそれぞれH3K9me3の維持と確立の機能分担があることがわかった。本成果はマラリア原虫のH3K9me3を基盤としたヘテロクロマチン化が配列因子によって確立・維持されることを初めて示したものである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究代表者の所属異動につき研究は数ヶ月停滞していたが、異動までの実験結果を基に論文投稿準備まで進めることができたため表記の評価とした。

今後の研究の推進方策

研究開始当初の計画通り、AP2-G遺伝子のヘテロクロマチン化誘導に働く配列因子(サイレンサー)の同定に成功した。今後はサイレンサーのより詳細な機能(H3K9me3の確立、維持)に働く最小領域(cis配列)を同定すると共に、cis配列に結合するタンパク質因子(trans因子)を同定する方向で研究を進めていく。
具体的には、サイレンサー内の部分配列からデザインされたDNAプローブを核抽出物と混合し、タンパク質結合したプローブをDNAゲルシフトアッセイ(EMSA)で同定する。EMSAを繰り返すことでタンパク質結合のある配列を限定し、cis配列を決定する。cis配列プローブに結合するタンパク質について質量分析を行い、trans因子を同定する。trans因子にヘテロクロマチン化誘導機能があるかを遺伝子ノックアウトおよびノックダウン株の表現型を基に解析する。以上の計画で、AP2-G遺伝子のヘテロクロマチン確立と維持のそれぞれに働くcis配列とtrans因子の解明を目指す。

次年度使用額が生じた理由

研究が概ね順調に進んでおり、2023年度は当初の想定以上の頻度で質量分析によるタンパク質解析を受託で行う計画になると予想されたため。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] マラリア原虫におけるヘテロクロマチン形成分子機構の解析2022

    • 著者名/発表者名
      森稔幸、中嶋舞、油田正夫、岩永史朗
    • 学会等名
      第91回日本寄生虫学会大会

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公開日: 2023-12-25  

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