• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

マラリア原虫におけるde novoヘテロクロマチン設立機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K06987
研究機関東京女子医科大学

研究代表者

森 稔幸  東京女子医科大学, 医学部, 特任助教 (00462739)

研究分担者 岩永 史朗  大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (20314510)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワードマラリア / 有性生殖 / ヘテロクロマチン / エピジェネティクス / 遺伝子発現 / ヒストン / クロマチン / サイレンサー
研究実績の概要

マラリアは熱帯地域を中心に、未だ2億人超の感染者と60万人超の死者を出す深刻な感染症であり、その病原体の生態や構造解析を基盤としたマラリア対策研究が世界的で繰り広げられている。本研究は熱帯熱マラリア原虫を材料とし、原虫のヘテロクロマチン形成機構を分子レベルで解明することを目的としている。
AP2-Gは有性生殖分化のマスター転写因子であり、無性生殖細胞においてはヘテロクロマチンの凝縮によってその遺伝子発現が抑制されている。2022年度までの研究成果として、研究代表者はAP2-G遺伝子座におけるヘテロクロマチン形成が配列依存的であり、プロモーター内部にある「サイレンサー」と定義した2kb程度の配列がAP2-G遺伝子座のヘテロクロマチンに必須であることを突き止めた(第16回日本エピジェネティクス研究会年会で演者として発表。米科学誌Heliyonに筆頭・責任著者として発表)。興味深いことに、サイレンサー配列にはさらなる機能的分担領域があり、その5'側はヘテロクロマチンの維持(maintainer領域)、3'側はヘテロクロマチンの開始(nucleator領域)に働くことがわかった。2023年度はmaintainer領域を標的とし、そこに結合するタンパク質分子の同定を試みた。maintainer領域からデザインしたDNAプローブと核抽出タンパク質を用いたゲルシフトアッセイを行ったところ、顕著なシフトバンドを見せる領域を同定することに成功した(第93回日本寄生虫学会大会で演者として発表)。今後の目標は、バンドシフトの原因となったプローブDNA結合タンパク質の同定・機能解析としている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究開始当初に建てた「マラリア原虫のヘテロクロマチン形成は配列依存的か?」という仮説を実験で検証することができ、それを研究期間内に論文発表することができた。前職の大阪大学から現職の東京女子医科大学への異動にともない、研究の遅延が生じ科研費を2024年度まで繰り越すことになったが、2023年度はゲルシフトアッセイの実験系を完成させ、標的配列結合タンパク質の同定への道が拓けた。以上のことから表記の評価とした。

今後の研究の推進方策

ゲルシフトアッセイによって同定された、maintainerのタンパク質結合領域を標的とし、そこに結合する核タンパク質を質量分析によって検出する。検出されたタンパク質分子から、DNA結合タンパク質分子候補を絞り込み、それらについて作製したリコンビナントタンパク質を用いてゲルシフトアッセイを行い、バンドシフトの再現を評価する。同時にmaintainerにおける厳密なタンパク質結合モチーフを決定する。maintainer結合タンパク質が決定したら、ゲノム編集によってその機能やゲノム中の局在を解析する。

次年度使用額が生じた理由

前職の大阪大学から現職の東京女子医科大学への異動に伴い、研究の再開が遅れたため。2024年度は、前年度に未達成であったタンパク質の質量分析を起点とした計画を実施する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Sequence-dependent heterochromatin formation in the human malaria parasite Plasmodium falciparum2023

    • 著者名/発表者名
      Mori T, Nakashima M
    • 雑誌名

      Heliyon

      巻: 9 ページ: e19164

    • DOI

      10.1016/j.heliyon.2023.e19164

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 熱帯熱マラリア原虫のヘテロクロマチン維持機構に関与する分子の探索2024

    • 著者名/発表者名
      森稔幸、中嶋舞
    • 学会等名
      第93回日本寄生虫学会大会
  • [学会発表] マラリア原虫における配列依存的ヘテロクロマチン化2023

    • 著者名/発表者名
      森稔幸、中嶋舞
    • 学会等名
      第16回日本エピジェネティクス研究会年会

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi