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2022 年度 実施状況報告書

マラリア原虫の受精に関与する雄分子PyMiGSと相互作用する雌性生殖体分子の同定

研究課題

研究課題/領域番号 21K06991
研究機関愛媛大学

研究代表者

橘 真由美  愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 助教 (00301325)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードマラリア / 有性生殖 / 雄性生殖体 / 近位依存性ビオチン標識
研究実績の概要

マラリア原虫は、媒介蚊の消化管内で有性生殖を行う。有性生殖期に発現する分子はこれまでに複数報告されている一方で、その相互作用についてはほとんどわかっていない。本研究では、マラリア原虫の受精に関わる分子機構を明らかにすることを目標とし、有性生殖期において雄特異的に発現するPyMiGSを足がかりにして、改良型近位依存性ビオチン標識AirIDを用いて相互作用する分子の探索を行う。
本年度は、解析を行うためにPyMiGSのAirID融合原虫を2種作出することに成功した。
作製したPyMiGSのC末にAirIDを融合した原虫を抗原とし、一緒に融合したAgiaタグに対する抗体、及び、MiGS抗体を用いた免疫染色により、MiGSは野生型原虫と同様に雄性生殖母体の細胞小器官であるオスミオフィリックボディに局在していることが示された。しかしながら、このC末にAirIDを融合した原虫では、雄性生殖体の放出能が、野生型原虫と比べて低下することが明らかとなった。このことから、この組換え原虫は、雄性生殖体におけるMiGSと相互作用する分子を探索する目的には適さないため、生殖母体のオスミオフィリックボディで相互作用する分子の探索に焦点を絞ることとした。
もう1種のMiGS::AirID原虫は、クローン化に成功したところであり、局在の確認等これから行う予定である。
また、陰性コントロールとするために、雌特異的に発現する既知の分子のAirID融合原虫の作出に成功した(1種)。同時に、陰性コントロール(既知の分子のAirID原虫)のバックアップ用に、他の候補分子を探索するため、データベースの発現プロファイルから雌性生殖母体で発現していると予測される7分子のmyc原虫の作製を試みた結果、3種の組換え原虫の作出に成功した。これらの局在解析を順次行い、コントロールの候補抗原となり得るかを確認する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度の予定が大幅に遅れたため、当初の予定よりは遅れているものの、昨年度改めて計画した研究は予定通り進展している。組換え原虫の表現型が野生型原虫と異なる部分があり、当初の計画(生殖体におけるMiGSと相互作用する分子の探索)とは方針(標的ステージ:生殖母体へ)を少し変える必要があるが、幅広く有性生殖期の分子を探索することも重要であると考えているため、特に問題はないと判断している。また、異なる位置にAirIDを融合した組換え原虫のクローン化にも成功しているため、この原虫のMiGSの局在、また表原型が野生型原虫と同等であることが確認できれば、雄の生殖体における分子の探索を進める予定である。

今後の研究の推進方策

これまでに、作製したPyMiGSにAirIDを導入した原虫では、野生型原虫と同様に、雄性生殖母体の細胞小器官であるオスミオフィリックボディにMiGSが発現していることを確認済みであるため、先ずはオスミオフィリックボディにおけるMiGSと相互作用している分子の探索に焦点を置く。
組換え原虫の生殖母体においてビオチン化を行うために、ビオチン添加方法についての条件検討を行う。ビオチン化されたタンパク質をストレプトアビジンビーズで回収し、質量分析法により相互作用する分子を解析する。
この解析により検出された10分子程度について、myc原虫を作製し、MiGSと同様に雄性生殖母体のオスミオフィリックボディに局在する分子を探索する。オスミオフィリックボディに限らず、生殖母体において発現している新しい分子が見つかった場合は、遺伝子欠損原虫を作製し、表現型解析を行い、分子の機能を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

前年度、滞っていたプロセスについて、手法を変えることで、その後の実験が順調に進んだため、物品費の使用が予定より少なく済んだこと、また、新型コロナの状況により、海外での学会への参加を見送ったことで旅費として計上していたものを使用しなかったことによる。前年度までに、達成できなかった実験を引き続き行うため、消耗品、マウスの購入に使用する。また、新型コロナの状況改善により学会への現地参加が可能であれば旅費として使用する予定である。

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公開日: 2023-12-25  

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