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2022 年度 実施状況報告書

ネズミ中殖条虫およびその分泌排泄物質による免疫疾患抑制機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 21K06998
研究機関産業医科大学

研究代表者

森田 健太郎  産業医科大学, 医学部, 講師 (30533690)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード寄生虫 / 免疫修飾 / 関節炎 / Mesocestoides vogae / Th17 / 好酸球 / 骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)
研究実績の概要

ネズミ中殖条虫(Mesocestoides vogae;Mv)を用い、Th17型の自己免疫疾患モデルであるマウスコラーゲン関節炎(CIA)に対する抑制機構の解明に取り組んでいる。CIAはウシⅡ型コラーゲン(ⅡC)を完全フロイトアジュバントと混合しエマルジョンの状態でDBA/1マウスの背部に皮内免疫することで誘導する。また、Mv感染は免疫1週間後に腹腔内投与により行う。その後、免疫3~8週後まで関節炎を経時的に評価し、評価終了後は血清や脾臓細胞を回収する。今年度は、2021年度得られた野生型マウスの免疫学的変化に関するデータの再現性実験を行った。その結果、抗CD3抗体刺激により脾臓細胞から培養上清中に分泌されるサイトカインにおいて関節炎促進性サイトカインTNF-αの産生抑制がMv感染群でみられ、また関節炎抑制性サイトカインIFN-γの産生抑制もみられた。さらに、脾臓細胞のフローサイトメトリー解析においては蠕虫感染特有の好酸球の増加が顕著にみられ、また、骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)においては、顆粒球型MDSC(PMN-MDSC:CD11b+Ly6G+Ly6Clow)および単球型MDSC(M-MDSC:CD11b+Ly6G-Ly6Chigh)共に増加がみられた。また、血清中の抗ⅡC抗体においては分泌抑制がみられ、脾臓細胞中のB細胞の減少もみられた。以上より、昨年度に得られた野生型マウスのデータは再現性あるものと確認できた。さらに、研究実施計画に基づいてIL-5欠損マウスを用いて上記同様の実験を行い、好酸球のCIA抑制機構への関与を検討した。その結果、Mv感染によるCIAの抑制作用は解除されず、野生型マウスと同様の結果となった。つまり、好酸球はMv感染により増大するものの、CIAの抑制機構への関与は低いことが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2022年の初めにマウスの繁殖ケージを増やすために飼育室を移動させた。ところが、移動先の飼育室において緑膿菌が検出され、緑膿菌によると思われるMv感染マウスの死亡事案が2022年の後半期に多数生じた。そのために、遅れが生じている。

今後の研究の推進方策

ネズミ中殖条虫(Mesocestoides vogae;Mv)感染により脾臓は肥大し好酸球や骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)の増大が顕著となるが、Mv感染によるコラーゲン関節炎(CIA)の抑制機構に好酸球の関与は低いことが今年度の研究により示唆された。それ故に、今後はMDSCによるCIA抑制機構への関与を検討する必要性がある。来年度以降は、Mv感染マウスからセルソーターを用いてMDSCの分離回収を試みex vivoでの免疫抑制機能を評価する。そして、免疫抑制作用が確認できた場合は養子移入実験によりin vivoでのCIA抑制効果を検討する。
また、自己免疫疾患の治療に応用できるような有効な分子の存在を確認するために、Mvを培養することで得られる分泌排泄物(excretory-secretory product;ES)を用いてCIA抑制効果も検討する予定である。

次年度使用額が生じた理由

緑膿菌の感染と思われる影響により当初予定していた動物実験の回数が減ったために実験費用が余った。次年度では培養実験や共同利用施設内の機器の使用頻度が増えるので、次年度使用額をその費用に充てる予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Mesocestoides vogae の関節炎抑制作用はSTAT6 経路に依存しない2022

    • 著者名/発表者名
      森田健太郎、清水少一、長田良雄
    • 学会等名
      第91回日本寄生虫学会大会

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公開日: 2023-12-25  

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