環境中に普遍的に存在する真菌アスペルギルスフミガタスは、重篤な肺アスペルギルス症の原因菌である。近年、我が国を含む先進国を中心に肺アスペルギルス症が増加傾向にあり、主に治療に使用されているアゾール系抗真菌薬に対する耐性株も出現していることから、その治療戦略の確立が急務となっている。しかしながら、薬剤耐性株の分離頻度やその遺伝的背景の関連については明らかとなっていない。本研究では、日本で分離されたアスペルギルスフミガタス171株を収集し、それらの薬剤感受性とゲノム配列を明らかにして、世界で分離された菌株との統合解析によって、日本で分離された株のゲノム的特徴を明らかにした。
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