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2023 年度 実績報告書

肝臓・皮膚・腎臓の連関によるレンサ球菌感染症の重症化機構

研究課題

研究課題/領域番号 21K07002
研究機関京都大学

研究代表者

小倉 康平  京都大学, 農学研究科, 准教授 (00586612)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードレンサ球菌 / 病原因子 / 遺伝子発現
研究実績の概要

近年になりStreptococcus dysgalactiae subsp. equisimilis(SDSE)による感染症が高齢者や基礎疾患保有者で多く報告され、その数は他のβ溶血性レンサ球菌を上回っている。SDSEは、多くの機能不明遺伝子を有しており、その病原性メカニズムは多くが不明である。本研究課題では、劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)を含む重篤な感染症の原因菌であるSDSEを対象に、感染に関与する病原因子や宿主体内(血液や臓器)での増殖・障害メカニズムを解析した。
国内で最も流行しているタイプであるstG.6792型SDSEについて、ヒト血清成分の存在下で強い接着性があることを確認した。網羅的な遺伝子発現解析により、ヒト血清成分を含む培地中で線毛形成関連タンパク質をコードする遺伝子群の発現が有意に上昇していることを確認した。また、劇症型由来stG.6792型SDSE 4株の完全ゲノム配列を決定し、stG.6792型SDSEに固有の遺伝子を抽出した。
さらに、国内で流行しているCC25型SDSEについて解析を進めた結果、非常にゲノム配列が近い(99.5%以上)2つのCC25型SDSEの間で、血液に対して高い病原性を示す毒素の発現量が大きく異なることがわかった。両方のSDSEのトランスクリプトーム解析を実施し(2022年度先進ゲノム支援)、毒素発現を制御する候補因子を抽出した。
SDSEをマウス尾静脈に感染させた結果、肝臓と腎臓に集積し、肝臓では菌体数が減少する一方、腎臓では増殖していた。ゲノム上近縁とされるStreptococcus pyogenesでは腎臓での増殖が観察されなかったことから、SDSEは腎臓で定着する感染メカニズムを持つことが示された。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 国内流行型G群レンサ球菌Streptococcus dysgalactiaeが有する遺伝子発現機構2024

    • 著者名/発表者名
      木ノ嶋航司、小倉康平、北村仁美、彼谷裕康、中村雅俊、岡本成史
    • 学会等名
      第35回日本臨床微生物学会総会・学術集会
  • [学会発表] 溶血性レンサ球菌によるヒアルロン酸資化機構とそれに伴う病原性発揮機構2023

    • 著者名/発表者名
      小倉康平
    • 学会等名
      日本応用糖質科学会第49回近畿支部会
    • 招待講演
  • [学会発表] 国内流行型β溶血性レンサ球菌Streptococcus dysgalactiae の生化学的・遺伝子的特徴2023

    • 著者名/発表者名
      木ノ嶋航司、小倉康平、北村仁美、彼谷裕康、中村雅俊、岡本成史
    • 学会等名
      第60回日本細菌学会中部支部総会

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公開日: 2024-12-25  

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