研究課題/領域番号 |
21K07004
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研究機関 | 愛媛県立医療技術大学 |
研究代表者 |
美間 健彦 愛媛県立医療技術大学, 保健科学部, 教授 (80596437)
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研究分担者 |
港 雄介 藤田医科大学, 医学部, 講師 (10836620)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 発現制御 / 二成分制御系 / Vibrio / sRNA / RNA結合タンパク質 |
研究実績の概要 |
細菌の環境適応機構の一つであるVarS/VarA-sRNAs-CsrA制御系は、複数のsmall RNA(sRNA)の発現調節を介して、RNA結合タンパク質CsrAの標的遺伝子のmRNAへの結合を制御することで、標的遺伝子の翻訳を制御する。我々は、Vibrio alginolyticusが保有する複数のsRNAの発現が異なって調節されることを見出したことを端緒として、それらsRNAの発現がそれぞれ異なるタンパク質によって調節される可能性を示した。これまでに、sRNA1の発現がArcB/ArcA二成分制御系のレスポンス・レギュレーターであるArcAによって調節されることを示した。ArcB/ArcA二成分制御系は、嫌気条件下での遺伝子発現を調節する。そこで、好気条件および嫌気条件での、ArcAによるsRNA1の発現調節を調べた結果、ArcAは嫌気条件下でsRNA1の発現を調節することが明らかになった。 ArcAがsRNA1の発現を制御したことから、センサー・キナーゼであるArcBもsRNA1の発現調節に関わると予想される。そこで、arcB遺伝子欠失株を作製して、arcBがsRNA1の発現調節に関わるか調べた。その結果、arcB欠失株では、arcA欠失株と同様に、親株株と比較して、嫌気条件でのsRNA1の転写活性が低下し、発現量が減少した。この結果から、ArcB/ArcA二成分制御系は、嫌気状態を感知し、sRNA1の発現を制御することが明らかとなった。本結果は、VarS/VarA-sRNAs-CsrA制御系の構成因子であるsRNAの発現が、他の制御系によっても制御されることを示した初めての結果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者は、2021年2月に現在の所属先に異動になった。それにともない、本年度初頭は、新しい所属先での研究室の立ち上げ等で研究の進捗に遅れが生じた。しかしその後、速やかに立ち上げを完了し、現在は支障なく研究を実施している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究により、Vibrio alginolyticusが保有する4つのsRNAうちsRNA1の発現がArcB/ArcA二成分制御系によって調節されることを明らかにした。sRNAの上流領域に結合するタンパク質をプルダウン法により探索した結果、ArcAの他にも、それぞれのsRNAの上流領域に特異的に結合するタンパク質を同定している。それらのタンパク質がsRNAの発現を調節する可能性があることから、今後は、それらが実際にsRNAの発現を調節するか明らかにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 研究代表者は、2021年2月に現在の所属先に異動になった。それにともない本年度初頭は、新しい所属先での研究室の立ち上げ等で研究の進捗に遅れが生じた。また、COVID-19の影響により、成果の発表を予定していた学術集会が中止またはオンラインでの開催となり、旅費が不要になった。 (計画) 研究室の立ち上げが完了し、研究が着実に展開しているため、次年度使用額を有効に利用して研究を展開する予定である。
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