研究課題/領域番号 |
21K07005
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
村松 久司 高知大学, 教育研究部総合科学系生命環境医学部門, 准教授 (90437343)
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研究分担者 |
柏木 丈拡 高知大学, 教育研究部総合科学系生命環境医学部門, 教授 (60363256)
若松 泰介 高知大学, 教育研究部総合科学系生命環境医学部門, 准教授 (60597938)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | エルゴチオネイン |
研究実績の概要 |
Burkholderia sp. HME13由来ErtAのN末端アミノ酸配列の解析から、ErtAはペリプラズムに局在すると推測された。ErtAの細胞内局在を調べるためにertA遺伝子を導入した組換え大腸菌株に浸透圧ショック法を施し、ペリプラズムタンパク質と細胞質タンパク質の分画を試みた。各画分のリンゴ酸脱水素酵素(MDH)活性とアルカリフォスファターゼ(ALP)活性を測定した結果、両画分から同程度のMDH活性とALP活性が検出され、ErtAの局在を調べられなかった。 Burkholderia sp. HME13のエルゴチオネイン分解に関与すると推定されるErtDをHisタグ融合タンパク質として取得し、諸性質を調べた。ErtDをヒダントイン-5-プロピオン酸に作用させるとN-カルバミルグルタミン酸が生じることが分かったため、ErtDはヒダントイン-5-プロピオン酸アミドヒドロラーゼ活性を持つことがわかった。さらに、ErtDの安定性、反応に最適な温度とpH、キネティックパラメータを明らかにした。 Burkholderia sp. HME13由来のErtEをHisタグ融合タンパク質として取得し、ErtDの反応生成物であるN-カルバミルグルタミン酸に作用させるとアンモニアが生成したことからErtEはN-カルバミルグルタミン酸アミドヒドロラーゼ活性を持つと考えた。これらの結果から、Burkholderia sp. HME13はエルゴチオネイン分解オペロンにコードされる酵素群によってエルゴチオネインをグルタミン酸に変換することが示唆された。 エルゴチオネイン分解オペロンの発現制御に関わると考えられるertR遺伝子をpET21に連結したプラスミドで大腸菌を形質転換し、ertR遺伝子の発現を誘導した結果、ErtRは不溶性画分に確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は学会や学術雑誌で研究成果を発表することはできなかったが、一部の実験で若干の遅れが生じているものの、研究全体としてはおおむね予定通りに実施した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は組換え大腸菌のペリプラズムタンパク質と細胞質タンパク質を分画できず、ErtAの細胞内局在を調べることができなかったため、今後はリゾチーム法による分画を試みる。また、ErtAを発現するBurkholderia sp. HME13でも同様の分画を試み、ErtAの細胞内局在を調べる。 Burkholderia sp. HME13由来ErtDの安定性や反応の最適条件を明らかにしたので、今後は基質特異性について調べ、ErtDが別の物質の代謝に関わる可能性がないか調査する。また、ErtDの反応には金属イオンが関わることが示唆されたため、様々な金属イオンを用いて本酵素活性への影響を調べる。 Burkholderia sp. HME13由来ErtEが触媒する反応を明らかにすることができた。今後は均一に精製したNative ErtEを用いて本酵素の諸性質を明らかにし、既知のN-カルバミルアミノ酸アミドヒドロラーゼの諸性質と比較する。 pET21ベクターを使用するとErtRが不溶性タンパク質として発現されることがわかったので、pSTV28ベクターによる遺伝子発現系を構築して、ErtRを可溶性タンパク質として取得することを目指す。あるいはタンパク質の可溶性を向上させるタグとの融合タンパク質としてErtRを取得することも考えている。
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