研究課題
Burkholderia sp. HME13のErtEを精製し、諸性質を調べた。N-カルバミル-L-グルタミン酸にErtEを作用させ、HPLCとアンモニア定量キットで反応生成物を分析した結果、グルタミン酸とアンモニアの生成が確認できたことから、ErtEはN-カルバミル-L-グルタミン酸アミドヒドロラーゼ活性を持つことがわかった。EDTAを含む緩衝液で透析したErtEはN-カルバミル-L-グルタミン酸アミドヒドロラーゼ活性を示さず、Co2+、Mn2+、Ni2+、Fe2+、Zn2+、Cu2+、Mg2+の添加で活性を回復し、特にCo2+の添加で大きく活性を回復した。これらの結果から、ErtEは2価金属イオン依存性酵素であることがわかった。Co2+を含むErtEの安定性、反応に最適な温度とpH、キネティックパラメータを明らかにした。エルゴチオネイン培地で培養したBurkholderia sp. HME13の粗酵素液中にはErtEの活性が検出されるが、LB培地で培養した本菌株の粗酵素液中からはErtEの活性が検出されなかった。また、エルゴチオネイン培地で培養したBurkholderia sp. HME13のertE遺伝子発現量はLB培地で培養した本菌株よりも6倍高いことがリアルタイムPCRで明らかになったことから、Burkholderia sp. HME13のErtEはエルゴチオネイン資化に関わることが強く示唆された。Burkholderia sp. HME13はエルゴチオネインの代謝中間体であるチオウロカニン酸を窒素源として生育でき、培養菌体の粗酵素液からエルゴチオネイン代謝に関わる5種類の酵素活性が検出された。この結果およびこれまでの研究成果から、我々はチオウロカニン酸がBurkholderia sp. HME13のエルゴチオネイン代謝酵素群の誘導因子であると考えている。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
巻: 88 ページ: 74~78
10.1093/bbb/zbad139