研究課題
Helicobacter cinaediの分離株、約100株を入手済みである。昨年ほぼすべての菌株のドラフトゲノム配列を決定したが、その半数は、ターゲットと考えているCRISPR配列が断片化しているなどして、解析に利用できない事が判明した。今年度は、およそ50株についてCRISPR領域のPCRを行い、配列決定を行った。CRISPRのスペーサーの挿入パターンから、100株は、8つのクローンに分けられることが判った。このクローン解析は、16S rRNA塩基配列に基づく系統解析に類似していたが、より詳細であることが判った。分離元の病院から受領した、分離年月、病棟番号、等の情報に照らして、現在分離株の時系列を確認しており、それらとクローン解析の結果を合わせて、進化系統が反映されるのか検証したい。なお、昨年に続き、本研究を推進する過程で、ヒトから分離されるHelicobacter属菌種で、既存の菌種に当てはまらない株があることが明らかとなり、Helicobacter higonensisとの名称をつけ、分類学的に正式に発表することができた(論文受理は2023年度であったが、雑誌公表は2024年度にずれ込んでいる)。昨年同様、本研究のため、遺伝子を詳細に解析する事に拠り、新菌種の発見に繋げることができたと考えている。本成果について、ヨーロッパ微生物学会(FEMS)にて発表し、世界的に周知を行う予定である。
3: やや遅れている
昨年末にようやく臨床データを得る事が出来た。時系列に菌株を並べ、CRISPR初め、他の遺伝子での解析をようやく始められる状況となった為。
まずは入手済みのHelicobacter cinaediの100株を使った時系列解析を行っていきたい。他の菌種菌株についても、解析を始められるように準備を行いたい。
Helicobacter cinaediのCRISPR解析に予想以上の時間がかかり、他の有用遺伝子の探索や他の菌種の解析まで進んでいないため。国際学会参加費用、他の菌種菌株の収集費およびゲノムデータ解析費として使用予定。
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