研究課題
基盤研究(C)
Helicobacter cinaediのコードするVI型分泌系エフェクターを検索し、大腸菌で致死的な作用を示す可能性のある遺伝子を単独で発現させたところ、microbial ribonuclease様ドメインをコードする1つの遺伝子が増殖抑制を示した。しかし、この遺伝子は大腸菌の増殖を抑制するにもかかわらず、この遺伝子を有する株は他のH. cinaedi株や、H. cinaediに次いでヒト腸管からの分離例が多い近縁菌種H. fenneliaeには増殖阻害を示さなかった。
細菌学
これまでHelicobacter cinaediのVI型分泌系の生理生態学的な役割は不明であったが、本研究で大腸菌に致死的な作用を示す遺伝子を見つけたことにより本菌のT6SSが少なくとも細菌-細菌間競争に関わることが明らかになった。本菌種のような存在量の乏しい菌種が、生存競争の激しいヒト腸内で常在性を維持する機構の解明は、ヒト腸内エコシステムの理解に貢献するだけでなく、本菌の制御法の開発にもつながると期待できる。