研究課題/領域番号 |
21K07029
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
藤田 憲一 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (10285281)
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研究分担者 |
臼杵 克之助 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (30244651)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 真菌 / 薬剤耐性 / 多剤耐性薬剤排出ポンプ / 小胞体ストレス応答 |
研究実績の概要 |
真菌の薬剤耐性を抑制する薬の開発のためには、まず、真菌の薬剤耐性機構を解明することが重要である。本研究は、小胞体ストレスに着目することで、小胞体の異常と薬剤排出ポンプPDR5高発現による薬剤耐性化の関係について検証することを目的とした。薬剤耐性を亢進させるモデル抗真菌薬のドデカノールを用いて、出芽酵母における小胞体ストレスと薬剤排出ポンプPDR5高発現の関係について検証した。 まず、DCFH-DA法によりドデカノール処理した時に活性酸素種(ROS)が産生されるかを調べた。その結果、ドデカノール処理によってROSが産生され、抗酸化剤ビタミンEによりその産生量は抑制されることが分かった。次に、GFPにより蛍光標識した小胞体ストレス応答タンパク質Ire1p発現株を用いて、Ire1pの小胞体膜への集合を評価し、ドデカノール処理時に小胞体ストレスが起こるのかを検証した。その結果、ドデカノール処理によってIre1pが小胞体膜へ集合し、小胞体ストレス応答が起こることが分かった。また、ドデカノールとビタミンE を同時処理することでIre1pの集合が抑制された。また、コロニーカウント法によってIRE1欠損株に対するドデカノールの抗真菌作用を検証した。その結果、親株に比べてIRE1欠損株はドデカノール処理によって低下した生菌数の回復が早く起こった。最後に、IRE1欠損株のPDR5発現量をリアルタイムPCRによって調べた。その結果、IRE1欠損株ではPDR5の発現量が増加していることがわかった。 以上より、出芽酵母において、ドデカノールを処理することでROSが産生され、それが原因となり小胞体ストレスが誘導され、応答反応が起こることが示唆された。また、IRE1欠損株はPDR5発現量が増加することで親株と比べてドデカノール処理による生育抑制から早く復帰することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
真菌の薬剤耐性機構の一つである薬剤排出ポンプの亢進が小胞体ストレス応答の抑制に関与することが部分的に検証できたと判断した。ただし、薬剤排出ポンプの亢進がポンプ遺伝子の転写調節によるのか、小胞体ストレス応答に起因するユビキチン-プロテアソーム系の抑制に依存するのかは不明である。
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今後の研究の推進方策 |
小胞体ストレス応答が薬剤耐性の抑制に関わっていることが今回判明した。その応答は細胞内で産生される活性酸素種が関与することが明らかとなった。今後は、薬剤によって起こるストレスが活性酸素種産生を誘導する機構を解析するとともに、薬剤排出ポンプの亢進がポンプ遺伝子の転写調節によるのか、小胞体ストレス応答に起因するユビキチン-プロテアソーム系の排出ポンプの分解抑制に依存するのかについても解析していきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ渦により、学会がオンラインで開催されたため、旅費が不要となった。次年度に対面で学会が開催された場合の旅費をキープするとともに、昨年度、購入に踏み切れなかった高価な試薬やキット類を購入し、研究の加速化をはかりたい。
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