欧米化した食(脂質の増加および食物繊維の減少)は腸管病原菌による感染リスクを高める。そこで、細菌感染における食事の影響の解明を目指し、本研究では脂質に富む食事、特に脂肪酸が腸管病原菌サルモネラの感染性に及ぼす影響を解明した。まず、本菌の脂肪酸代謝活性は腸管内定着に必要であった。また、外界から取り込まれた脂肪酸は第2相鞭毛遺伝子を活性化し、その結果、サルモネラの運動の質が変化した。すなわち、直線的な運動が促され、これが腸管内定着が活性化した。本研究成果は、サルモネラの腸感染における脂肪酸の役割の解明のみならず、腸管内の脂肪酸制御が本菌の新たな予防・治療ターゲットとなる可能性を示したことである。
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