研究課題/領域番号 |
21K07033
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研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
竹原 正也 徳島文理大学, 薬学部, 講師 (40742705)
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研究分担者 |
永浜 政博 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (40164462)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ウエルシュ菌 / α毒素 / TLR |
研究実績の概要 |
ウエルシュ菌感染に対するTLR4の役割や、α毒素の作用機構を解明するため、C3H/HeNマウスやC3H/HeJマウスに野生型のA型ウエルシュ菌、または、α毒素遺伝子を遺伝子操作で欠損したα毒素欠損株を感染させ、感染部位での宿主の遺伝子発現をDNAマイクロアレイにより網羅的に解析した。野生型のA型ウエルシュ菌を感染させたC3H/HeNマウスでは、未感染のマウスと比較して179個の遺伝子で1.5倍以上発現が高く、82個の遺伝子で1.5倍以上発現が低かった。A型ウエルシュ菌感染マウスで高発現であった遺伝子には、宿主の防御に関与するCXCL2、Trem1、 CXCL1、Il1b、CXCL3などの遺伝子が含まれていた。また、野生型のA型ウエルシュ菌を感染させたC3H/HeJマウスでは、C3H/HeNマウスと比較して351個の遺伝子で1.5倍以上発現が高く、82個の遺伝子で1.5倍以上発現が低かった。この結果は、A型ウエルシュ菌の感染に対する宿主の応答にTLR4が関与することを示している。さらに、Gene set enrichment analysisを行なった結果、野生型のA型ウエルシュ菌を感染させたC3H/HeNマウスでは、α毒素欠損株を感染させたマウスと比較して、ミトコンドリア呼吸鎖遺伝子群の発現が優位に高かった。この結果は、α毒素がミトコンドリアでのエネルギー産生に影響を与える可能性を示唆しており、これまでに全く分かっていなかった本毒素の新規な作用である。このように、α毒素の新規な作用の手がかりが発見されたことから、今後は、本毒素の作用機構について、さらに詳細な検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、C3H/HeNマウス (野生型TLR4)やC3H/HeJマウス (機能欠損の変異型TLR4)、野生型ウエルシュ菌やα毒素欠損株などを用いて、ウエルシュ菌感染時のTLR4の役割やα毒素の作用を解明することを計画していた。この計画通りに研究は進展していることから、本研究は当初の計画にそって、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の検討は以下の方針で行う予定である。 1) α毒素によるTLR4活性化メカニズムの解明 2) ウエルシュ菌感染に対するTLR4阻害剤の治療効果
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