研究課題
原因遺伝子の変異によりin vivoで病原性に影響を与えるか調べるため、マウスをもちいた動物実験を行った。咽頭炎患者分離株、咽頭炎患者分離株の原因遺伝子を変異させた株について様々な菌濃度の菌液を調製した後、各菌株を5-6週齢のddYマウスの腹腔内に接種して7日間経過観察し、各株の生存曲線を作成した。その結果、原因遺伝子が変異することにより、マウスに対する致死性が増強することが判明した。STSS患者では、腎障害など多臓器不全がみられることから、原因遺伝子の変異により腎臓、および、肺に障害が起きるか調べた。ddYマウスの腹腔内に菌を接種後24-48時間の腎臓、および、肺を摘出して病理組織標本を作製し、ヘマトキシリン・エオジン(HE)染色を行い、病理組織検査を行った。原因遺伝子の変異株では、臓器に菌が検出されるとともに炎症細胞の浸潤がみられた。STSS患者では壊死性筋膜炎や軟部組織壊死がみられる。原因遺伝子の変異によりこのような病態がみられるか調べるため、ヘアレスマウスの皮下に菌を接種し、経過観察した。壊死を起こした皮膚の領域を測定し、それぞれの株で比較した。マウスから、接種後48-72時間の皮膚、皮下組織を摘出した。その後、病理組織標本を作製し、HE染色を行い、病理組織検査を行った。その結果、変異株では、感染の広がりとともに、菌の検出および組織の破壊がみられたが、変異のない株では、局所に炎症細胞の浸潤がみられるが、菌はみられなかった。このことから、マウスを用いた動物実験で、原因遺伝子の変異は、致死性および臓器障害を増長することが明らかとなった。
3: やや遅れている
マウスを用いた動物実験において、遅れを生じたから
ゲノムレベルにおける原因遺伝子変異の影響を行う。
年度末納品等にかかる支払いが、令和6年4月1日以降となったため。当該支出分については次年度の実支出額に計上予定であるが、令和5年度分についてはほぼ使用済みである
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International Journal of Infectious Diseases
巻: 142 ページ: 106954~106954
10.1016/j.ijid.2024.01.021