2019年に発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、今や世界各地に蔓延し、2022年4月で累計罹患者数は世界全体で4億9千万人を超え、そのうちおよそ615万人が亡くなっている。その対策ついては、ワクチンと治療薬が重要である。発生当初は既存薬の転用にて、臨床に応用されていたが、現在は世界各地で新規抗ウイルス薬の開発が進められている。 本研究では、新型コロナウイルスに対し効果が期待される既存薬および新たに登場した抗ウイルス薬について、薬剤耐性ウイルスの検出を試み、最終的には確実な治療法の確立を目指す。 今年度は、ヒト気道上皮に存在するセリンプロテアーゼ発現細胞であるVeroE6/TMPRSS2細胞を用いて、新型コロナウイルスに対する各化合物の感受性を確認した。その結果、既存薬であるレムデシビルおよび新規に開発されたEIDD-1931,PF-00835231、開発中のS-217622が抗ウイルス効果を示すことが確認され、臨床での効果が期待される。また、レムデシビルについては、VeroE6/TMPRSS2細胞を用いて薬剤存在下で継代を10回ほど行い、耐性の検出を試みたが、耐性ウイルスは検出できなかった。 今後は、培養細胞を用いて、他の薬剤についても耐性検出を試み、また、ハムスターやマウス等の実験動物を用い、薬剤の効果を確認するとともに、耐性ウイルスの検出に応用していく。
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