研究課題
重要な胃腸炎ウイルスであるロタウイルスを任意に設計して人工合成することは、ロタウイルス増殖や病原性発現といった基礎研究のみならず、次世代ワクチンや腸管ベクター開発といった臨床応用にもつながる。これまでに、発光蛋白質や蛍光蛋白質といったレポーター蛋白質をコードする外来遺伝子を導入した組換えロタウイルスの作成と解析を報告してきた。今年度は、他の病原体の感染防御抗原を発現する組換えロタウイルスの作成を試みた。重要な他病原体のモデルとして2型単純ヘルペスウイルスのスパイクgD2蛋白質をコードする遺伝子をロタウイルスNSP1遺伝子に挿入したT7プラスミドを構築し、当研究室独自の簡便で高効率なロタウイルスリバースジェネティクス系(11-プラスミドシステム)により、感染細胞でgD2を発現する組換えロタウイルスの作成を試みた。回収した組換えロタウイルスをMA104細胞に感染させ、ウエスタンブロットでロタウイルス抗原と2型単純ヘルペスウイルス抗原の発現を検討したところ、ロタウイルスVP6蛋白質の発現とともに2型単純ヘルペスウイルスgD2蛋白質の良好な発現が確認された。一方で、T7プラスミド上でORF領域の大部分を欠失させたNSP1蛋白質の発現は消失した。こうして、in vitroにおけるgD2の良好な発現が確認できた。今後この組換えロタウイルスをマウスに経口接種し、in vivoにおけるgD2発現と免疫誘導能についても検討する。
3: やや遅れている
2型単純ヘルペスウイルスのスパイクgD2蛋白質を良好に発現する組換えロタウイルスを作成できたが、ロタウイルスベクターの最適化については検討中である。
ロタウイルスベクターの最適化とともに、in vivoにおける他病原体の感染防御抗原の発現と免疫誘導について検討する。
ロタウイルスベクターの最適化が予定よりも遅れているため、計画的に次年度使用額として残しました。次年度にこの目的で使用する予定です。
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J Gen Virol
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Viruses
巻: 13(9) ページ: 1791
10.3390/v13091791