研究課題
胸腺はT細胞が分化・成熟する場であり、T細胞受容体(TCR)の遺伝子再編成を行うことで、多様なTCR レパトワを形成し、様々な抗原(微生物やウイルスなど)に対応できるようになる。一方で、多様なTCR レパトワの中には自己に反応性を持つ自己反応性T細胞が存在する。胸腺に存在する抗原提示細胞は自己抗原を提示することで、自己反応性T細胞をネガティブセレクションで除去したり、または、制御性T細胞へと分化させることで、自己に対する免疫寛容を確立する。申請者は胸腺に存在する3型自然リンパ球の一部に自己寛容に必須な遺伝子であるAireの発現を発見した(未発表データ)。これらの発見に基づき、本研究では胸腺に存在する3型自然リンパ球のT細胞分化における役割および自己免疫疾患発症の関連を明らかにする。本年度はAireを発現する3型自然リンパ球様細胞が、自然リンパ球の定義に合致するかを調べた。3型自然リンパ球はRAGの欠損下においても存在する、またRORrt欠損下においては存在しないということがしられているため、RAG欠損マウスおよびRORrt欠損マウスにおいて、Aire陽性3型自然リンパ球細胞を調べたところ、RAGの欠損下では存在し、RORrt欠損マウスにおいては存在しなかった。これらの結果より、胸腺に存在するAIre陽性3型自然リンパ球は3型自然リンパ球の定義に合致することがわかった。
2: おおむね順調に進展している
計画通りに進んでいる。
胸腺3型自然リンパ球がT細胞分化に与える影響を評価RORrtKOをAireのプロモーターでOVA抗原を発現するAireOVAマウスと掛け合わせる。このマウスをさらにOVA反応性CD4T細胞であるOT-IIマウスとかけわせる。このマウスの骨髄キメラを作製することで、3型自然リンパ球が存在しない条件下で、OVA反応性CD4T細胞がネガティブセレクションで除去されるかどうか、また制御性T細胞分化に与える影響を評価する。またRORrtKOマウスの骨髄を用いた骨髄キメラを解析することで、3型自然リンパ球の抗原提示がない環境で分化したCD4T細胞のTCRレパトワを野生型マウスのTCRレパトワと比較することで、3型自然リンパ球が生理的条件下においてT細胞分化に与える影響を評価する
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件)
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