二次免疫応答において、骨髄と脾臓の記憶ヘルパーT細胞の動態や機能、役割は不明な点が多い。応募者は、骨髄記憶ヘルパーT細胞はインテグリンα2やその下流の接着斑キナーゼ (FAK) 依存的に、また脾臓記憶ヘルパーT細胞はIL-7依存的に維持されていることを明らかにした。そこで、各シグナルを単独または同時に阻害することによって、各組織の記憶ヘルパーT細胞を特異的に除去することが可能になり、各記憶ヘルパーT細胞の動態や機能、役割を解析できるようになった。計画1年目は、記憶細胞を除去せずに起こる、二次応答時の変化を解析する実験系を確立させた。各組織の抗原特異的ヘルパーT細胞の細胞数や表現型、サイトカイン産生能、マクロファージなどの活性化、抗原特異的な抗体やBCRを産生するプラズマ細胞数や活性化・胚中心B細胞数、血清中の抗原特異的抗体価を同時に解析する、より効率的な実験系を立ち上げた。時間的変化も、ブースト後に適した日数を絞ることができている。阻害抗体の準備も整え、実験が十分できるコンディショナル欠損マウスの匹数も現在整えている。
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