研究課題
基盤研究(C)
本研究では、各組織の記憶ヘルパーT細胞を血清学的かつ遺伝学的に除去し、各々の動態や機能、役割を明らかにすることを目的に研究を行った。その結果、二次応答時には、骨髄記憶ヘルパーT細胞が4時間以内にCD40Lなどの活性化マーカーかつ機能分子を発現するのに対して、脾臓記憶ヘルパーT細胞は24時間後まで活性化は見られなかった。さらに骨髄から早期に末梢への遊走も見られたと同時に、骨髄でもB細胞との相互作用が見られ、骨髄記憶ヘルパーT細胞が主に強く二次応答に働いていることが分かった。
免疫学
本研究により、骨髄で維持される記憶ヘルパーT細胞が高い機能をもち、主に二次応答で貢献していることが分かった。ワクチンなどで記憶ヘルパーT細胞の形成を指標にする際は、骨髄を観察する必要があることが分かったとともに、自己免疫疾患やアレルギー疾患などでも主として働く記憶ヘルパーT細胞を除去するためには、骨髄の記憶ヘルパーT細胞を除く必要があることが分かった。この発見は、ワクチン開発や疾患の治療法確立のために、大きく役立つものであり、学術的にも社会的にも大きく意義がある。