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2021 年度 実施状況報告書

がん細胞をメカノセンシタイザー撹乱によって硬化組織から排除する試み

研究課題

研究課題/領域番号 21K07090
研究機関秋田大学

研究代表者

栗山 正  秋田大学, 医学系研究科, 准教授 (30398226)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードメカノタクシス / 線維化
研究実績の概要

本研究は一般に広く知られるがんが硬い組織を好む、という事をがん細胞側から見て、本当にがん細胞は周りの組織が硬くなっている事を認識しているのか?を明らかにし、その感知を制御するメカノセンシタイザーを明らかにする事で転移を制御しようとする研究である。ヒト乳がん細胞株を用いた実験によって免疫不全マウスの乳腺付近に正所性移植を行うと7日目から肺に微小転移が見られ、14日目には蛍光等の観察でははっきり転移巣が確認される。21日目には肺の臓器表面に結節が確認され28日目には二次転移、もしくは別の転移先として腎臓などの他臓器に転移が始まる。さらに同乳がん細胞株にFRETテンションセンサーを導入した株を樹立した。これによりメカノゲル上で測定した硬さの感知能と生体内の転移の各段階における硬さの感知能を比較する準備が整った。しかしながら現時点では市販のメカノゲルが最も硬いもので50kPaと線維化した組織ではしばしばより硬い組織へと変化している事が予想される事から外挿して硬さを類推するしかない。このため新たにコラボレーションを行い数100kPaまでの硬さをメカノゲル上で測定し、比較する事とした。また一旦作成したメカノセンサー細胞も時間の経過と共にプローブの発現のサイレンシングが起こり始めた。このため確実に発現をするようにゲノムのhAAVS1領域にゲノム編集によってFRETセンサーを導入する。またメカノセンシタイザー候補分子をまずマイクロRNAによって抑制すると転移が劇的に抑えられた。このため更に発現をノックアウトした細胞(X-KO)を作成した。X-KO細胞の挙動はまだ観察していない。物流の停滞によりうまく試薬等を入手できない事もあり、若干の遅れがあるが変更点を丁寧に進めたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

細胞の遺伝子導入やゲノム編集を行ったものを多く作成したが、これまでに安定して使用していた試薬が入手困難になったりしたことで細胞の作成の可否が影響を受けた。うまく発現していなかったり、うまく発現が落ちていなかったりする事が多発し、異なるストラテジーを導入する事となった。試薬の価格等が高騰し、全般的に使える研究費が目減りしているのと同じ状態であった。

今後の研究の推進方策

細胞株をゲノム編集技術により安定的導入遺伝子が発現するように改良したのでその細胞をこれまでに行った実験同様細胞内張力感知機構を精査する。まずこれらの細胞が野生型の細胞と同じタイミングで転移、増殖するかどうかを検証する。さらに転移巣におけるFRET測定値を新たにコラボレーションにより導入するより幅広いレンジのメカノゲル上での測定値と比較してより詳細な組織硬化度を算出する。さらに転移前から片肺だけに線維化組織を作成し、その影響を観察する。メカノセンシタイザー候補分子Xのノックアウト細胞においても親株との特性変化を詳細に記載し、これら全てを単一のストーリーに収められる場合は1本の大論文として発表する事を目標とする

次年度使用額が生じた理由

研究進度の若干の遅れのため、今年度に購入するよりも使う時期に合わせて購入する方が良いコンディションで実験ができると考えたため

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Cancer‐associated fibroblasts educate normal fibroblasts to facilitate cancer cell spreading and T‐cell suppression2022

    • 著者名/発表者名
      Itoh Go、Takagane Kurara、Fukushi Yuma、Kuriyama Sei、Umakoshi Michinobu、Goto Akiteru、Yanagihara Kazuyoshi、Yashiro Masakazu、Tanaka Masamitsu
    • 雑誌名

      Molecular Oncology

      巻: 16 ページ: 166~187

    • DOI

      10.1002/1878-0261.13077

  • [雑誌論文] SKAP2 suppresses inflammation-mediated tumorigenesis by regulating SHP-1 and SHP-22022

    • 著者名/発表者名
      Takagane Kurara、Umakoshi Michinobu、Itoh Go、Kuriyama Sei、Goto Akiteru、Tanaka Masamitsu
    • 雑誌名

      Oncogene

      巻: 41 ページ: 1087~1099

    • DOI

      10.1038/s41388-021-02153-1

  • [雑誌論文] Pigment Epithelium Derived Factor Is Involved in the Late Phase of Osteosarcoma Metastasis by Increasing Extravasation and Cell-Cell Adhesion2022

    • 著者名/発表者名
      Kuriyama Sei、Tanaka Gentaro、Takagane Kurara、Itoh Go、Tanaka Masamitsu
    • 雑誌名

      Frontiers in Oncology

      巻: 12 ページ: -

    • DOI

      10.3389/fonc.2022.818182

  • [雑誌論文] Expression of asporin reprograms cancer cells to acquire resistance to oxidative stress2021

    • 著者名/発表者名
      Sasaki Yuto、Takagane Kurara、Konno Takumi、Itoh Go、Kuriyama Sei、Yanagihara Kazuyoshi、Yashiro Masakazu、Yamada Satoru、Murakami Shinya、Tanaka Masamitsu
    • 雑誌名

      Cancer Science

      巻: 112 ページ: 1251~1261

    • DOI

      10.1111/cas.14794

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] PEDF-lamRシグナルは溢出増加と共に腫瘍の組織化を亢進させる2021

    • 著者名/発表者名
      栗山 正
    • 学会等名
      日本癌学会学術総会

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公開日: 2022-12-28  

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