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2021 年度 実施状況報告書

TRIB1によるEMT関連遺伝子の転写活性化を介したがん転移促進機能の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K07095
研究機関山梨大学

研究代表者

横山 隆志  山梨大学, 大学院総合研究部, 特任助教 (00535833)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードTRIB1 / EMT / SMAD3
研究実績の概要

pseudokinaseであるTRIB1は,MEK1との結合によるMAPキナーゼ経路の活性化の持続と,ユビキチンリガーゼCOP1依存的なC/EBPαの分解により白血病幹細胞性を誘導し,マウス骨髄移植モデルにおいて急性骨髄性白血病を100%発症させる.一方で固形がんにおけるTRIB1の機能については不明な点が多かった.私達はTRIB1がヒト肺がん細胞株A549細胞へのTGF-β刺激により発現誘導され,C/EBPαの分解が促進されることを見出した.さらにC/EBPαがEMT関連遺伝子の発現を制御することに着目し,TRIB1がC/EBPαの分解を介してEMTの誘導や転移・浸潤などのがん悪性化に寄与している可能性が考えられた.本研究ではA549細胞やヒト膵がん細胞株Panc1などにおいて,TRIB1のノックアウトや各種機能不全変異体の再導入細胞を作製し,細胞増殖,運動能誘導や細胞応答やマウス移植モデルを用いた転移能,およびEMT関連遺伝子の発現への影響について検証する.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

A549細胞において,double nickaseを用いたゲノム編集によりTRIB1 KOクローンを複数作製した.TRIB1 KO細胞は0.5%血清条件において,ERK1/2のリン酸化や細胞増殖速度の減少が見られた.また,TGF-β刺激によるE-Cadherinの減少が抑制されており,細胞運動能も低下していた.これらの細胞応答とTRIB1の分子機能について調べるため,TRIB1 ⊿ILL変異体 (MEK1結合配列を欠失) を再導入したところ,E-Cadherinの減少や細胞運動能を回復させたが,ERK1/2のリン酸化や増殖速度は回復しなかった.一方でTRIB1 KR (K207R, C/EBPαと結合しない) 変異体をTRIB1 KO細胞に再導入した場合はERK1/2のリン酸化や増殖速度は回復するが,E-Cadherinの減少と細胞運動能は回復しなかった.これらの結果から,TRIB1はC/EBPαの分解を介してEMTの誘導や細胞運動能の促進に関与することが考えられた.また,TRIB1 KO細胞はsphere形成能が低下したが,これは増殖速度を回復させたTRIB1 KR変異体の再導入によっても回復しないことから,TRIB1はC/EBPαの分解によりがん幹細胞性を誘導している可能性が示された.

今後の研究の推進方策

EMTやhybrid EMT誘導におけるTRIB1の機能をさらに詳細に調べるため,フローサイトメトリーによる表面マーカーの比較を行う.また,TRIB1 KOによりsphere形成能への影響が見られたため,がん幹細胞マーカーの発現についても同様に調べる.
qPCRによりE-CadherinやN-Cadherinへの影響が見られたため.さらにRNA-Seqによる網羅的な遺伝子発現解析を行うことで,EMT関連遺伝子やがん幹細胞性に関与する遺伝子発現への影響について調べる.また,C/EBPαのChIP-SeqおよびATAC-Seqを行い,これらの遺伝子変化とC/EBPαの分解との関与について検証する.TRIB1 KO細胞および機能不全変異体の再導入細胞について,マウス尾静脈移植による肺転移のin vivoイメージング解析を行い,転移能における機能を明らかにする.

次年度使用額が生じた理由

次年度は大規模な動物実験を行うため,免疫不全マウスの購入および維持費用に使用する.

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 備考 (1件)

  • [備考] 生化学講座第2教室 - 山梨大学医学部

    • URL

      https://www.med.yamanashi.ac.jp/basic/bioche02/bioch2.html

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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