Claudin-9は、膜タンパク質であり、タイトジャンクションに必須の分子である。一方で大腸癌の悪性度や腫瘍微小環境とClaudin-9の関連は未だ不明である。Claudin-9を 過剰発現させたCT26細胞株(CT26-OE)を樹立した。CT26-OEでは、細胞増殖が有意に増加した。また、コントロールと比較してCT26-OE細胞は有意に高い遊走能 を示した。BALB/cマウスの尾静脈を介した静脈内がん移植を行った。CT26-OEを投与したマウスでは、コントロールのCT26を投与したマウスに比べ、がん移植後 の全生存期間が有意に減少した。組織学的には、CT26-OEを投与したマウスでは、対照のCT26よりも広範な肺転移が確認された。肺転移巣の全RNAを用いたマイク ロアレイ・バイオインフォマティクス解析により、CT26-OE投与マウスの肺では、炎症反応に関与する免疫応答が有意に低下していることが明らかになった。 IHC解析により、CT26-OEの肺のCD3陽性細胞数はコントロールのCT26と比較して有意に減少していることがわかった。一方で、マクロファージの数に変化を認めなかった。Claudin-9が癌免疫に関与することが示唆されたことから、マウスモデルでの肺転移をFACSでも解析し、immuno typingを行った。
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