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2021 年度 実施状況報告書

EGFR遺伝子変異陽性肺癌における抗体薬物複合体の作用機序に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K07100
研究機関九州大学

研究代表者

岩間 映二  九州大学, 大学病院, 講師 (40567343)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードEGFR / HER2 / 抗体薬物複合体
研究実績の概要

本研究では、EGFR遺伝子変異陽性肺癌におけるEGFR-HER2ヘテロダイマーの細胞内動態を明らかにするとともに、HER2に対する抗体薬物複合体であるトラスツズマブ・エムタンシン(T-DM1)の作用機序を明らかにし、EGFR遺伝子変異陽性肺癌に対する新たな治療戦略の礎とすることを目的とする。
まず、PLA法(Proximity Ligation Assay)を用いてEGFR-HER2ヘテロダイマー形成について検討し、EGFR野生型よりもEGFR変異陽性肺癌細胞株においてEGFR-HER2ヘテロダイマー形成の発現が高いことを確認した。次に、各種細胞株に対して蛍光標識した抗HER2抗体を添加し、蛍光顕微鏡下にてタイムラプス観察を行いった。HER2増幅を認める細胞ではHER2は長時間細胞表面に留まるものの、HER2増幅を認めない細胞ではHER2は速やかに細胞内に取り込まれることを確認した。これはHER2増幅を認める細胞ではHER2-HER2ホモダイマーが主体であるのに対して、(EGFR遺伝子変異陽性細胞を含む)HER2増幅を認めない細胞では、HER2-EGFRヘテロダイマーが主体であるためと考えられた。実際、HER2増幅を認めない細胞において内在化しているHER2はほとんど全てがEGFRと共存していた。さらに、EGFR野生型細胞に比してEGFR遺伝子変異陽性細胞では、内在化されたHER2は速やかにリソソームに輸送されていることを確認した。これらの研究結果は、EGFR遺伝子陽性肺癌において、HER2は効率的にHER2-EGFRヘテロダイマーを形成し、ヘテロダイマーを介して細胞内、リソソームに取り込まれるためにT-DM1の感受性が高まるものと考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

In vitroの研究において予定通りの進行と結果が得られており、論文にまとめ、現在投稿中である。

今後の研究の推進方策

論文のアクセプトを目指すとともに、学会発表を行う。
In vivoでの研究、具体的には下記のことを行う。EGFR遺伝子変異陽性肺癌細胞株、EGFR遺伝子野生型細胞株をマウスに移植し、T-DM1単剤の効果を比較する。また、EGFR-TKI耐性細胞株をマウスに移植し、EGFR-TKI耐性機序によらない抗体薬物複合体の効果を検討する。また、T-DM1単剤、EGFR-TKIとT-DM1の併用における効果の比較についても検討を行う。さらに、複数種類の抗体薬物複合体を用いて効果を検討する。

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公開日: 2022-12-28  

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