研究課題/領域番号 |
21K07105
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
堺 隆一 北里大学, 医学部, 教授 (40215603)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 神経芽腫 / チロシンリン酸化 / チロシンキナーゼ / チロシンホスファターゼ |
研究実績の概要 |
神経芽腫におけるPTP-RZの役割を知るため、初年度に樹立したsiRNAをもちいたPTP-RZタンパク質の発現抑制の系と、クローニングしたcDNAを用いたPTP-RZタンパク質の強制発現の系を用いた系を使ってRTP-RZの発現と神経芽腫の特性の関わりに関する解析を進めてきた。今年度はPTP-RZの発現がある程度見られる神経芽腫数種で、PTP-RZと相互作用するタンパク質の解析も行ったが、用いた神経芽腫細胞ではPTP-RZの絶対的な発現量がそれほど多くないこともあり、通常の免疫沈降法では相互作用するタンパク質を明確に確認することができなかった。 そのため近年開発されたproximity-labeling法(近接ラベリング法: Roux KJ et al, J cell Biol 2012)の改良法(TurboID: Mair A et al Elife 2019)を導入して、PTP-RZの近傍にあって相互作用するタンパク質を検出する実験を開始した。TurboIDのC末付加用コンストラクトを理研バイオリソース研究センターから購入して、まず系の確立とその特異性と感受性の確認のため、これまで研究してきたALKチロシンキナーゼのC末にTurboIDを付加したコンストラクトを作成し、神経芽腫細胞株YT-nuおよびTNB-1に導入して培養中のビオチン添加によりALK近傍のタンパク質をラベルした。細胞溶出液をStreptavidinビーズにより精製し、ALK自体および結合したチロシンリン酸化タンパク質が検出される条件を確立した。現在PTP-RZのcDNAにTurboIDを付加したコンストラクトを用いて実験を継続中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍における当初の研究の立ち上がりの遅延と、神経芽腫におけるPTP-RZなどチロシンホスファターゼの絶対的な発現量が予想よりもかなり低く、そのシグナルや相互作用する分子の解析に予定より時間がかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
現在PTP-RZのcDNAにTurboIDを付加したコンストラクトを用いPTP-RZの近傍に存在する主にチロシンリン酸化タンパク質を検出し、既存の抗体と質量分析法によりそれらの同定を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究開始時にコロナ禍の影響で若干遅延が出たことと、目的タンパク質が量的に予想より少なかったため相互作用の解析などに時間がかかっているため。次年度は相互作用するタンパク質の同定と機能解析を行う。
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