研究課題
MHC-IbとAltRのタンパク質間相互作用の詳細を解析することとしていたが、MHC-Ibはリバースシグナルにより細胞死を誘導することがわかってきた。すなわち、 AltRに対して競合的に作用することで、細胞の排除に対して抑制的に働いたのではなく、DLA12/MHC-Ibは他の表現系である細胞死の誘導に寄与していることがわかってきた。これは、当初のDLA12が細胞排除機構に対して抑制的に働くという仮説とは異なっている。しかしながら、DLA12遺伝子欠損が変異細胞の排除効率を促進した理由として、細胞死誘導へのスイッチングであることがわかってきた。細胞の排除効率を解析した結果、extrusion効率はDLA12/MHC-Ibによって抑制されていたが、細胞死効率はDLA12/MHC-Ibの効果により促進しており、extrusionと細胞死を合わせて、排除効率全体でみると排除は促進していることがわかっ た。これらのことから、DLA12/MHC-Ibは、extrusionに対して抑制的に働くのではなく、細胞死へとスイッチングすることにより、がん変異細胞の排除を促進していることが示唆された。以上のように、新たなる細胞死誘導機構がextrusionと連続する機構が想定された。この機構の解明に必須であるMHC-Ibのリガンド候補分子を同定し、同定したリガンドによるMHC-Ibを介した細胞死誘導機構について解析した。まず、同定したリガンドとMHC-Iの最小結合部位のペプチドは、in vitroで細胞死を誘導した。加えて、同定したリガンドのペプチドによって刺激されたMHC-Ibからの細胞内リバースシグナルは、MAPK経路を活性化していた。これにより、Caspase3の活性化を介したApoptosisであることがわかってきた。さらに、同ペプチドをマウスin vivoでの発がん実験に適用したところ、発がんを抑制する結果を得た。
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Seminars in Immunopathology
巻: Online ahead of print. ページ: 不明
10.1007/s00281-024-01001-0