研究課題
Emmprin(extracellular matrix metalloproteinase inducer)とCD73が複合体を形成し、浸潤に重要な因子であるMMP-2の産生を調整していることについて更なる詳細な検討を行っっている。CD73は線維芽細胞と腫瘍細胞の両方に発現している。線維芽細胞上のCD73と、腫瘍細胞上のCD73を別々にsiRNAで抑制して共培養した場合のMMP-2産生についての解析を行った。3D-cultureを用いた、腫瘍細胞と線維芽細胞の共培養下でCD73を抑制することによる浸潤抑制実験を行った。MMP-2産生調整には線維芽細胞上のCD73と腫瘍細胞上のEmmprinが重要であり、これらはtrans-mannerで結合していた。CD73の抑制によりtranscription levelでMMP-2産生が抑制され、3D-cultureでは腫瘍浸潤も抑制された。線維芽細胞上のCD73がemmprinの受容体として働き、複合体を形成することによりMMP-2の産生性が増加し、その結果浸潤性が亢進している可能性が示唆された。本研究により、浸潤における腫瘍と間質の相互作用のメカニズムの一つが示された。これまでに、腫瘍細胞におけるEmmprinの発現またはCD73の発現による予後との相関は報告されているが、腫瘍細胞上のEmmprin発現と間質におけるCD73発現の両者を同時解析した報告は、外耳道扁平上皮癌を用いた我々の報告のみである。in vitroにおける結果がin vivoでも裏付けられるかについて、現在、乳癌、胆嚢癌、頭頸部癌、軟部腫瘍におけるパラフィン包埋切片を用いて、免疫染色を行い、再発、リンパ節転移、予後との相関についての解析を実行中である。
2: おおむね順調に進展している
in vitroの実験は細胞株の培養が不安定となり、やや遅れが生じていたが、目的としていた実験は達成された。現在は別の細胞株を用いて予備実験を行っている。in vivoの実験については、古い年代のパラフィン切片における染色性不良がある症例が認められているが、陽性コントロール、陰性コントロールの設定、抗体クローンの変更により染色条件を見直し、おおむね順調に進んでいる。
共同研究者の協力を得ながら、乳癌、胆嚢癌、頭頸部癌、軟部腫瘍を解析対象とし、パラフィン包埋切片を用いた免疫染色および臨床病理学的検討を進めていく。
購入した抗体の、年度内の納入が先方の事情によりできなかったため。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (6件)
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