研究課題/領域番号 |
21K07110
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
青木 光希子 福岡大学, 医学部, 講師 (80469379)
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研究分担者 |
濱田 義浩 福岡大学, 医学部, 准教授 (10341439)
古賀 佳織 福岡大学, 医学部, 講師 (40572433)
濱崎 慎 福岡大学, 医学部, 教授 (90412600)
角田 俊之 福岡大学, 医学部, 准教授 (70444817)
松本 太一 福岡大学, 薬学部, 講師 (80570803)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | Emmprin / CD73 / tumor invasion / tumor-stroma interaction / MMP / MMP-2 |
研究実績の概要 |
腫瘍細胞が移動、つまり浸潤するためには周囲のマトリックスを分解する必要がある。腫瘍細胞周囲のマトリックスを分解する際に主要な働きを示す酵素がMatrix metalloprotease, MMPsである。MMPsは主に腫瘍周囲の線維芽細胞により産生される。MMPsの産生は、腫瘍細胞と線維芽細胞の相互作用によって調節されているが、詳細な機序については不明な点が残っている。私たちの研究で、腫瘍細胞と線維芽細胞が相互作用する際に、細胞膜上でemmprinと複合体を形成する分子の存在が推定された。腫瘍細胞を単独培養した場合と、腫瘍細胞と線維芽細胞をco-cultureした場合に、Emmprinと複合体を形成している分子をそれぞれMS解析で同定し、腫瘍細胞と線維芽細胞をco-cultureした場合にのみ検出された分子の中からCD73を選出した。今回の研究では、腫瘍細胞と線維芽細胞の相互作用におけるCD73/emmprin複合体形成とMMP-2の産生調整について、更なる詳細な解析を行った。想定されていた腫瘍細胞上のemmprinと線維芽細胞上のCD73がtrans-mannerで複合体を形成しているのではないかという仮説を実証した。CD73は、腫瘍細胞上と線維芽細胞上の両方に存在しているが、腫瘍細胞上のCD73はMMP-2の産生調整に関与せず、線維芽細胞上のCD73を抑制することにより、MMP-2の産生が抑制され、腫瘍浸潤が抑制されることを初めて示した。これらの結果は、類上皮肉腫細胞株および扁平上皮細胞株両方で同じ結果が得られ、2種類の不死化した線維芽細胞を用いて証明された。また、CD73の抑制による線維芽細胞からMMP-2の産生抑制はmRNAレベルで生じていること、腫瘍から分泌されるemmprinが線維芽細胞上のCD73と共発現することも示した。
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