発がんリスクの上昇・低下には全身性の多臓器連関が関与している可能性という事が、多くの統計データによって示唆されており、運動による発がんリスク低下や肥満による発がんリスク上昇などが代表例として挙げられる。一方で、多臓器連関によるがん制御の分子メカニズムについては未解明な点が多く、人為的介入によるがん予防・治療への課題は多い。本研究では、嗅覚・味覚のセンサーとして働く化学受容器の喪失が「ニューロン―がん原発巣」の臓器連関を介してRas腫瘍の悪性化を引き起こすという、新たながん原性の臓器連関メカニズムを明らかにした。本研究成果は、がんリスクの遺伝的指標やがん治療・予防の新規標的として期待される。
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