本研究では、cullin-3 (CUL3)型ユビキチンリガーゼの基質認識受容体であるSPOP (speckle type POZ protein)によるゲノム不安定化阻止機能の分子機構の解明を目的とした。解析を進めた結果、ヒト不死化皮膚角化細胞において、SPOPがDNA複製のG1期からS期への進行に必須なDNA複製ライセンシングにおいて重要な機能を有することを明らかにした。更に、脂質代謝の観点から解析を進めた結果、DNA複製ライセンシングが止まった細胞では中性脂質分子種が顕著に減少することを見出した。SPOPがG1/S遷移に必要であり、この際に特徴的な脂質代謝が生じている可能性が示唆された。
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