研究課題/領域番号 |
21K07140
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研究機関 | 愛知県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
小島 康 愛知県がんセンター(研究所), がん病態生理学分野, 主任研究員 (30464217)
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研究分担者 |
三城 恵美 (佐藤恵美) 名古屋大学, トランスフォーマティブ生命分子研究所, 特任講師 (00455544)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 悪液質 / 大腸がん |
研究実績の概要 |
がん悪液質は、体重減少・骨格筋萎縮・食思不振を主徴とする臨床症候群である。進行がん患者の約8割が、悪液質を発症し、世界では年間900万人近くのがん患者が悪液質を発症していると推定されている。現在、悪液質の本態は不明で、実効性のある早期診断方法や治療介入法が存在しない。がん悪液質モデルマウスを解析したところ、骨格筋と比較して、肝臓で激しい代謝変化が生じることを申請者は見出した。悪液質肝臓ではNAD(nicotinamide adenine dinucleotide)濃度が半減して、そしてNAD分解関連酵素であるNNMTおよびCD38の発現が上昇することが特徴的であった。本研究では、NAD濃度の減少およびNMTおよびCD38の発現上昇が悪液質病態に与える影響を検証する。さらに悪液質を好発する胃がん患者の血清を解析して、NAD代謝経路の変動の有無を検証する。悪液質治療薬の開発基盤を構築することを、本研究計画は指向している。 本研究では、まず悪液質を必発する大腸がんマウスモデル(Apc/Smad4変異マウス)とNnmtノックアウトマウスおよびCd38ノックアウトマウスを交配して、Apc/Smad4/Nnmt複合変異マウスとApc/Smad4/Cd38複合変異マウスを作出してNNMTとCD38の「完全なる阻害実験」に取り組む。複合変異マウスで明確な表現型の変化を観察した場合は、低分子化合物を用いて薬理学的実験に移行する枠組みとする。臨床への外挿性を重視して、臨床血液サンプルのメタボローム解析も実施して、NAD代謝変動の有無を確認する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
まずNnmtノックアウトマウスを交配して、Apc/Smad4/Nnmt-/-複合変異マウスの作出を試みた。しかしながら、Apc/Smad4/Nnmt+/-マウスの段階で、発育が極めて不良となり、また繁殖効率が著しく低下した。繁殖に取り組みApc/Smad4/Nnmt-/-マウス雄を2匹ほど作出して現在コロニーの拡大に取り組んでいるが繁殖効率が不良で難渋している。加えて、昨年度は、コロナ渦のため、出勤停止期間が断続的あり、研究活動そのものの遅滞が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
NNMTに関しては、Apc/Smad4マウス以外の悪液質モデルへの導入の検討を開始する。また 理化学研究所実験動物開発室より提供されているCd38ノックアウトマウス(RBRC01462)を早急に導入して、Apc/Smad4/Cd38複合変異マウスを作出に着手する。
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次年度使用額が生じた理由 |
Apc/Smad4/Nnmt複合変異マウスの繁殖効率不良およびコロナ渦による断続的な出勤停止により研究活動が遅延しているため
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