研究課題/領域番号 |
21K07144
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
南嶋 洋司 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (20593966)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 細胞老化 / OIS / テロメア / DNA傷害 / ROS |
研究実績の概要 |
細胞老化は「不可逆的な細胞増殖の停止」と定義され、がん遺伝子の強制発現・テロメアの短縮・DNA傷害などの各種ストレスによって誘導される。がん遺伝子であるはずのH-RASG12Vを正常細胞に発現させても、細胞はがん化せずにOIS (oncogene-induced senescence)と呼ばれるタイプの細胞老化が誘導されることなどから、細胞老化とは細胞のがん化を防ぐシステムではないかと考えられてきた。しかし実際には、加齢と共に生体内には老化細胞が蓄積し、がんの発生率も増加するため、変異が蓄積した老化細胞からがんが発生すると考えるのもまた理である。そこで本研究では、細胞老化とは不可逆的なのか否か?という永年の問いの解決に挑み、①老化細胞ががん化するメカニズムの解明とその回避策、さらには②老化細胞の若返り(rejuvenation)の可能性についても検討する。OIS以外にも、テロメア保護タンパク質TRF2の変異体(TRF2∂B)の発現による急速なテロメア短縮・活性酸素種(ROS)・DNA損傷などのストレス応答によっても細胞老化は誘導される。のだが、2021年度は、先ず、テロメア保護タンパク質TRF2の変異体(TRF2∂B)の発現による急速なテロメア短縮が引き起こした細胞老化が可逆的であるか否かを検証した。 (1)Doxycycline投与によってTRF2∂Bの発現を誘導出来るcDNA系を構築した。 (2)その系を用い、ヒト線維芽細胞においてDoxycycline投与によって細胞老化が誘導出来る系を確立した。 (3)テロメア短縮による細胞老化の科学性について検証した
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遺伝子発現系cDNAのコンストラクティングが先に出来上がった実験系から着手することにしたため、研究計画書の2番目の実験のほうから先に着手した。
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今後の研究の推進方策 |
がん遺伝子H-RASG12VによるOISを誘導した後に、同じくがん遺伝子であるSV40ERを発現させる系を構築し、OISが可逆的なのかどうかという長年の疑問に対する結論を出す。 また、ROS、DNA傷害などによって誘導された細胞老化についても、その可逆性を検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定よりも進捗が芳しい実験に先に着手したため、研究計画書に記載した実験と順番が入れ替わった。そのため、それに応じて次年度に行う予定の実験のための経費を繰り越した。
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