研究課題/領域番号 |
21K07155
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
中津海 洋一 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 講師 (20596837)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | mTORC1 / 液ー液相分離 / シグナル伝達 |
研究実績の概要 |
「液-液相分離」は特定のタンパク質とRNAが集合し、液滴と呼ばれる膜のない細胞内構造体を可逆的に形成することで、細胞機能を制御する重要な現象である。本研究は、リン酸化酵素mTORC1の下流で制御される液-液相分離を新規に同定し、その分子メカニズムをの解析を行うものである。新たに同定した液‐液相分離制御と疾患との関連を見出すことを目的としている。本年度は、mTORC1の下流で形成が制御される液―液相分離の探索を行った。既知の液‐液相分離について複数の候補を対象に、蛍光免疫染色解析により検証した結果、mTORC1の活性に依存して形成が変化する液‐液相分離を同定に成功した。次に同定した液‐液相分離の制御について、mTORC1からのシグナルに起因した分子メカニズムの同定を行った。申請者の過去の解析から見出したmTORC1の下流でリン酸化を受ける分子群を対象とし、それぞれの遺伝子破壊細胞を調製したところ、同定した液‐液相分離が起こらなくなる分子を同定した。同定した分子のリン酸化修飾の変化が、液‐液相分離に影響を与えるかを検証する実験系の構築を現在は進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度、新たにmTORC1に依存して形成が変化する細胞内構造体を同定したことから、研究計画はおおむね順調に進展している。当初は、大規模スクリーニングを実施して同定する計画であったが、既知の細胞内構造体を対象とした準備段階の解析で目的を達成することができた。本年度の計画である細胞内構造体の同定は既に完了し、形成制御の分子メカニズムの解析に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に開始した細胞内構造体形成の分子メカニズム解析をさらに進める予定である。mTORC1によりリン酸化され、細胞内構造体形成に寄与する分子を同定する。また細胞内構造体の形成制御の生理的意義を見出す解析を進める。
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