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2022 年度 実施状況報告書

mTORC1依存的液―液相分離制御によるがん促進機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K07155
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

中津海 洋一  名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 准教授 (20596837)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードmTORC1 / 液ー液相分離 / シグナル伝達
研究実績の概要

「液-液相分離」は特定のタンパク質とRNAが集合し、液滴と呼ばれる膜のない細胞内構造体を可逆的に形成することで、細胞機能を制御する重要な現象である。本研究は、リン酸化酵素mTORC1の下流で制御される液-液相分離を新規に同定し、その機能と分子メカニズムをの解析を行うものである。本年度は、昨年度に同定したmTORC1依存的に形成される液滴についてmTORC1との機能的関連を探索した。その結果、液的に局在するmRNAについて、mTORC1によって翻訳が抑制されることがリボソームプロファイリング解析から明らかになった。これまでmTORC1による翻訳制御として、リボソームタンパク質の合成を標的とした翻訳促進的な制御が知られていた。一方で本研究で見出した翻訳制御はリボソームとは異なるmRNAを標的とした翻訳抑制的な制御であり、既知のシグナル伝達とは独立したシグナルであり、逆の制御であった。次に翻訳抑制の分子メカニズムを同定するため公開RNA-seqデータを利用し、特に翻訳抑制を受けるmRNA群の新たな特徴を探索し同定した。次にGO-term解析を行い、翻訳抑制を受けるmRNAの機能的特徴を調べたところ、転写に関連した機能を持つmRNA群が翻訳抑制を受けることが分かった。すなわちmTORC1は下流には二つの翻訳制御メカニズムが存在し、一方では翻訳を促進し、もう一方では転写を抑制するという逆方向の制御が見いだされた。来年度は、これまでの結果を検証すべく、さらなる解析を進める。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定のmTORC1依存的な新規液滴の同定は完了し、その生理的意義の同定まで進んでいる。来年度は詳細な分子メカニズムを解明し、疾患との関連を検証する。

今後の研究の推進方策

今後は、mTORC1による転写制御について詳細な解析を進め、液滴形成が寄与する転写制御を明らかにする。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件)

  • [雑誌論文] Phosphorylation of PBX2, a novel downstream target of mTORC1, is determined by GSK3 and PP12022

    • 著者名/発表者名
      Wada Reona、Fujinuma Shun、Nakatsumi Hirokazu、Matsumoto Masaki、Nakayama Keiichi I
    • 雑誌名

      The Journal of Biochemistry

      巻: 173 ページ: 129~138

    • DOI

      10.1093/jb/mvac094

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Senescence Connects Autophagy Deficiency to Inflammation and Tumor Progression in the Liver2022

    • 著者名/発表者名
      Huda Nazmul、Khambu Bilon、Liu Gang、Nakatsumi Hirokazu、Yan Shengmin、Chen Xiaoyun、Ma Michelle、Dong Zheng、Nakayama Keiichi I.、Yin Xiao-Ming
    • 雑誌名

      Cellular and Molecular Gastroenterology and Hepatology

      巻: 14 ページ: 333~355

    • DOI

      10.1016/j.jcmgh.2022.04.003

    • 査読あり / 国際共著

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公開日: 2023-12-25  

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