研究課題/領域番号 |
21K07156
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
桝田 司 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 訪問研究員 (40837291)
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研究分担者 |
大家 基嗣 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (00213885)
田中 伸之 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (60445244)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 3次元イメージング / 腫瘍脈管 |
研究実績の概要 |
本研究で、腫瘍血管の特定には、血管内皮細胞に発現するマーカーCD34を利用し、リンパ管構造はリンパ内皮細胞マーカーLYVE-1を用いた。申請者は、分子標的未治療の淡明細胞型腎がん46例を対象とし、腫瘍脈管の3次元可視化に成功し、解析した結果について、現在論文を投稿中である。脈管径/屈曲率/分枝までの長さ/密度/空間分布の不均一性(尖度、歪度、分散)を数値化した。12の容積パラメータと患者の全生存率との関係を調べたところ、CD34密度とLYVE-1密度のハザード比は、それぞれ0.156(95%CI=0.041-0.594、p=0.006)と0.161(95%CI=0.042-0.615、p=0.008)であり、CD34発現とLYVE-1発現の両方で容積密度が高いほど予後が良好であることが示された。さらに、CD34密度のばらつきとLYVE-1密度のばらつきのハザード比は、それぞれ6.701(95%CI=1.694-26.514、p=0.007)と14.314(95%CI=2.380-86.082、p=0.004)であり、いずれも3Dにおける密度のばらつきが小さいほど予後が良好であることを示した。 さらに、20例で遺伝子発現との関連も検討した。それぞれの経路を考えると、血管半径に関連するPI3K-mTOR経路変異の存在のみが有意に異なり(p=0.045)、AUC値は0.747(95%CI=0.517-0.977)であった。これらの所見を総合すると、ccRCCにおけるPI3K-mTOR経路に関連する遺伝的背景は、血管半径を含む3次元血管形成に関連している可能性があり、腫瘍微小血管の容積分析がゲノム変化の代替バイオマーカーとなる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既にヒト腎がん検体を用いた研究は、当初の計画通りデータ収集や解析がされており、現在論文投稿中である。しかしながら、マウスを使用した研究内容にまでは発展できていないのが現状である。
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今後の研究の推進方策 |
ヒト検体を使用した、現在までの内容で論文投稿中である。 今後、マウスを使用した研究の遂行については、適宜すすめていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響で、作業工程に遅れが出てしまった。特に免疫染色やマウス実験の過程で遅れがでしまったため、解析も時間がかかってしまっている。すでに期間延長の申し出は、提出している。 次年度使用額を利用して、マウス実験で得られた腎がんにおける血管およびリンパ管の可視化の研究結果についてもまとめ、成果として報告できるように努める。
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