研究課題/領域番号 |
21K07167
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
田中 宏樹 旭川医科大学, 医学部, 助教 (70596155)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 肝癌 |
研究実績の概要 |
本研究では血小板に治療薬を内包させ、それを担癌個体に投与すると、癌組織内で血小板が治療薬を放出して選択的に薬剤を作用させることができると仮説を立てた。これをラット肝癌モデルにおいてその治療効果を実証することを目的としている。 肝癌モデルラットから1 mLの採血を行い、そこから分離した血小板に肝癌治療薬であるソラフェニブやレンバチニブがどれくらい内包できるかの結果が得られた。また、肝癌モデルラットにおいて採血、血小板分離、薬剤内包、静脈注射のサイクルを週2回、10週間行うこととしてその効果を検証した。その結果、治療期間中に経時的に行った超音波検査においても、治療終了後の病理組織学的検査においても充分な腫瘍退縮が確認された。また、血液検査においては、治療による重大な副作用等も観察されず、本治療方法は肝癌において有効な治療方法となりうることが証明できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は肝発癌の初期のモデルにおいて、治療効果を確認することを目的としており、少なくとも発がん初期病変については治療効果を観察することができた。今後、進行してしまった肝癌に対しても治療効果が得られるのかどうかを検討することが必要である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は、より進行し、転移してしまった癌モデルにおいてこれらの治療法が有効であるかなどを検討したい。これまで用いてきたラット化学発癌モデルに形成された肝腫瘍組織からがん細胞を分離培養し、株化したものを準備する。それを正常ラットに静脈注射して、全身転移モデルを作成する。このモデルに対して治療を行って、生存曲線などを作成する予定である。
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