研究課題
基盤研究(C)
本研究では、腫瘍と血小板の相互作用を利用すると、腫瘍阻害剤を封入した血小板が腫瘍治療のための薬物キャリアとして機能するという仮説を立てラットの肝発癌モデルを用いて実証した。ソラフェニブまたはレンバチニブを、in vitroで担癌ラットより単離した血小板に封入して治療を行った(週2回、10週間)。その結果、SOR-PLTまたはLEN-PLTの腫瘍組織では広範な腫瘍壊死が観察され、明らかな治療効果があると考えられた。
実験病理学
ソラフェニブの臨床応用により、肝細胞癌に対する全身化学療法の使用成績が大きく変化した。最近、レンバチニブもソラフェニブの治療効果を上回る目的で使用されている。しかし、これらの分子標的治療薬による副作用の報告が多く、副作用の少ない治療が望まれている。本研究では、肝細胞癌と血小板の強い相互作用を利用することで、自己血小板を薬物キャリアとして使用し、ラット肝細胞癌モデルにおいて、腫瘍組織に効率的に薬物を送達できることを実証した。この戦略は肝細胞癌の治療に大きな影響を与えると期待できる。