研究実績の概要 |
本研究の目的は、①BRAF変異大腸癌におけるMcl1阻害薬の治療応用、②BRAF変異大腸癌発がんにおけるmiRNA群やlncRNA群の同定と関連する標的遺伝子群を含めた新規治療標的分子の同定、であった。 申請者らは、BRAF変異大腸がん特異的に、miR-193a-3pががん抑制的に働くことをin vitroの解析にて初めて明らかにし既に報告している(Takahashi H et al., BMC Cancer 2017;17:723)。さらに申請者らは、miR-193a-3pの癌細胞内過剰発現が、in vitroにおいてMcl1による殺細胞性効果を高めること、またその効果増強の機構に、miR-193a-3pの標的であり抗アポトーシスタンパク質の1つであるMcl1の抑制が密接に関与していることを見出した(Hiraide S et al. Cancer Sci. 2021 112:3856-3870.)。Mcl1阻害薬のBRAF阻害薬+MEK阻害薬+抗EGFR抗体への細胞増殖抑制増強効果を各種培養がん細胞株を用いてin vitro, in vivo での実験を開始している。 また、BRAF変異大腸がんにおけるBRAF阻害薬+MEK阻害薬+抗EGFR抗体の治療効果を増強しうるMcl1以外の新規標的分子を探索するため、CRISPER-CAS9技術を用いたin vitroでの遺伝子スクリーニングの実験を開始している。
|