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2021 年度 実施状況報告書

DDSが賦与するCpG核酸能を利用した肝細胞癌の治療

研究課題

研究課題/領域番号 21K07175
研究機関大阪大学

研究代表者

辻村 直人  大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (10804198)

研究分担者 柴田 理志  大阪大学, 医学系研究科, 特任助教 (00423153)
山本 浩文  大阪大学, 医学系研究科, 教授 (30322184)
横山 雄起  大阪大学, 医学系研究科, 助教 (60615714)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードCpG / 肝細胞癌 / DDS
研究実績の概要

肝細胞癌は癌関連死亡率が高く最新治療の創出が求められている。これまでに私達は、5-FU /IFNα (インターフェロンα) の併用療法が門脈浸潤を示す高度進行肝細胞癌の予後を改善することを報告してきた。しかし、IFNαの全身投与には様々な副作用があるため抗腫瘍効果増強のための投与量の増加には限界があった。一方、近年、生体免疫の賦活化を誘導する核酸医薬CpG核酸が注目されているが、通常臨床で使用されるCpG核酸はB細胞を活性化しIL6を産生するが、樹状細胞からのIFNαの分泌を誘導しない。しかし、私達がこれまで開発してきた生体作動性のDDSであるスーパーアパタイトナノ粒子(sCA)にCpG核酸を内包化すること(sCA-CpG)でIFNαなどのサイトカイン誘導能が大幅に増強することが分かってきた。本研究ではスーパーアパタイトによって新たに賦与されたCpG核酸の優れた抗腫瘍効果を利用して、肝細胞癌に対する効果的な治療戦略の確立を目指す。初年度の研究結果は以下の通りである。1) in vitroにおいて肝細胞癌細胞株2種(HepG2, HuH7)を使用し、無治療、CpG核酸単独、sCA単独、sCA-CpG投与の4群での腫瘍増殖能を検討した。HuH7にsCA-CpGを投与することで他の3群に比較し腫瘍増殖能の低下を認めた。2) in vivoではNude mouseにHuH7のxenograft tumorを作成した上、in vitroと同様の比較検討を行った。この検討においてもsCA-CpGをマウスに静脈投与することで他群に比較し有意に腫瘍増殖を抑制した。3) 加療後のxenograft tumorを摘出し、western blottingにて分子機序を検討したところ、sCA-CpGの投与にて腫瘍内のIFNαの上流であるTLR9及びIRF7の発現増加を認めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2021年度は計画していた内容に沿って以下の点を明らかにすることができた。in vitroでは肝細胞癌細胞株のHuH7にsCA-CpGを投与することで腫瘍細胞の増殖能を抑制することを確認できた。この実験に先んじて、高濃度のsCA自体での細胞毒性を認めたため、sCAの細胞毒性がない条件設定を繰り返し求め、最終的にsCA-CpGのみが抗腫瘍効果を示すに至った。in vivoでもHuH7のxenograft tumorに対して、sCA-CpGが無治療、CpG核酸単独、sCA単独に比較して有意差を有しつつ、かつ非常に強い抗腫瘍効果を示すことを確認することができた。またsCA-CpG投与を行ったtumorにおいてIFNαの上流であるTLR9およびIRF7の発現増加を確認することもできた。以上の通り、2021年度は計画していた内容に沿って、順調に研究を遂行し結果が得られている。2022年度に向けての準備もうまく進んでおり、引き続き円滑な研究の遂行が期待できる。

今後の研究の推進方策

免疫細胞のないin vitro条件で肝細胞癌の増殖抑制を認めたので、sCA-CpGの直接作用が存在することが示唆されることから、そのメカニズムを検討する。In vivoでは免疫細胞の関与が加わり、樹状細胞に加えてどのような免疫細胞にsCA-CpGが取り込まれるかを、Alexa647をconjugateした標識したCpGを使って検索する。sCA-CpG 投与によってマウス腫瘍の局所でIFNα, IFNγ, IL12などが上昇しているかどうかをqRT-PCRで確認する。

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公開日: 2022-12-28  

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