研究課題
根治術後再発大腸がんのMRD検出:大腸がんの根治術後はまずはMRDの段階で再発を診断することが重要である。このためわれわれは大腸がん特異的なエピゲノム変異を同定した。再発陽性大腸がん20例と非再発大腸がん20例それぞれについて経時的に経過観察を行ったところ、20例中16例において画像診断よりも早期にメチル化ctDNAを検出し、画像診断上の再発ではなく1〜6ヶ月早くMRDの段階で再発を同定しうることを明らかにした(非再発20例は1例のみ1箇所擬陽性)。再発時に投薬内容を決める上でドミナントなアクショナブル変異の同定が重要だが現状では原発巣または転移巣の各々1カ所のみの情報を用いているのが現状である。現在、本法を用いてMRDを検出しえた検体で果たしてアクショナブルな変異を検出できるか?ゲノム医療ではそのコストの問題からCGP検査の回数が設けられており、本法のごとく安価でactionable変異の解析を行う症例の囲い込みを実現することが極めて重要である。
3: やや遅れている
われわれは「転移再発早期発見のための実装的モニタリングシステム開発」を目的として研究を進めてきたが、ctDNAにおけるゲノムレベルの変異よりも、メチル化crDNAのほうが鋭敏かつ特異性が高いことが明らかとなり、より正確に早期にMRDを検出できることが明らかとなった。したがってアッセイ法を変更して エピゲノム解析にシフトをはじめた。確立する迄に時間を要したが結果が得られ始めている。
ctDNAで検出される変異遺伝子の特徴: 進化系統樹法であればドミナントなクローンの選択過程を示すことができる。この方法はクリック研究所のスワントン博士が既に明らかにした。進化の選択圧として腫瘍免疫応答が重要であることから、われわれは腫瘍免疫応答によりctDNA変異の検出感度が異なるか?現在鋭意解析を進めている。
次年度の実験消耗品に充当予定。
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Cancer Sci.
巻: 113(1) ページ: 156-169
10.1111/cas.15174.